研究課題
特別研究員奨励費
萼片や花弁といった花器官の数は、被子植物門の大多数を占める真正双子葉植物では5個(五数性)であることが多い。四数性の花が次いで多く、六・七数性や、単子葉植物で多い三数性の花は真正双子葉植物では少ない。一方で、種によっては同一種・同一個体群でも花器官の数に大きなばらつきが見られる。大きさも形も違う多種多様な花で花器官数が同じであるのは、発生過程に特定の数になりやすい性質があるのではないだろうか。基本数は同じ五であるのに、ばらつきの大きさが異なるような状況は、どのような発生過程のパラメータが変化することで起こるのだろうか。本研究は、数理モデルを用いた花器官の数が決定する条件の探索と、実地観察による花器官数のばらつきの調査の二つの項目からなる。数理モデルについては過去二年の間に、花芽の発生過程を単純化して計算機上で再現し、花器官数が決まる条件を準解析的に解く方法を見出した。その結果として主要なモデルパラメータに対し四数性と五数性が六・七数性に比べ広い範囲で現れることを示した。当該年度においては、これらの結果を論文にまとめ、受理された。並行して、花器官数にばらつきがみられるキンポウゲ科植物(イチリンソウ属、キンポウゲ属、セツブンソウ属)について花器官数の調査を行った。当該年度を含む三年間の実地調査の結果、花器官数のばらつき方は多くの場合左右非対称(花器官数が増えることは多いが減ることは稀)であり、正規分布ではなかった。発生過程と対応付き、分布を再現するモデルとして花器官の発生運命の決定機構(ABCモデル)に基づく分布を提案し、統計的モデル選択により複数のモデルと比較した結果、最適なモデルであることが示された。これらの結果を論文にまとめて出版した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS Computational Biology
巻: 11(5) 号: 5 ページ: 3144-3150
10.1371/journal.pcbi.1004145
Frontiers in Plant Sciences
巻: 5 ページ: 545-545
10.3389/fpls.2014.00545