研究課題/領域番号 |
12J01391
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 史治 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 中性子過剰核 / 核構造 / 対相関 / クラスター相関 / 原子核構造 |
研究概要 |
中性子過剰な不安定核特有の物理の一つにダイニュートロン相関というものがある。これは自由空間では非束縛な二中性子が中性子過剰核表面付近などにおいて強い空間的相関をもちコンパクトなスピン一重項対 : ダイニュートロンを形成しうるというものである。これまでの先行研究では既存の枠組みの適用限界からごく一部の原子核しか研究されておらず、その普遍的な性質は全く分かっていない。今年度はまず^8He(^4He+4n)の基底・励起状態における一つもしくは二つのダイニュートロン形成の寄与を解析した。基底状態においては一つのダイニュートロンが形成される成分は非常に重要であるが、一方でダイニュートロンは、例えば芯からのスピン軌道力などによって、崩されやすくもあるために二つのダイニュートロンが同時に形成される成分は大きく抑制されることを明らかにした。また励起状態においては、二つのダイニュートロンがそれぞれボソンとして最低のS軌道を占め、空間的に大きく発達したいわばダイニュートロン凝縮状態が存在することを示唆した。続いて^9Li, ^<10>Beの基底状態において、芯の構造がダイニュートロンの形成・崩れにどのような影響を及ぼすのかを解析した。^9Liよりも^<10>Beの方が芯と余剰中性子問の引力が強く、またそれらの間に働くスピン軌道力も大きいため^9Liよりも^<10>Beの方がダイニュートロンはより大きく崩されることをあらわに示した。芯の構造の違いによってダイニュートロンの形成の度合いが異なるという事実は、今後の研究にも繋がりうる重要な示唆である。また^9Li, ^<10>Beにおけるダイニュートロン相関とそれらの鏡映核である^<9,10>Cにおけるダイプロトン相関を比較した。ダイプロトンは、二陽子間に働くクーロン力のために、ダイニュートロンに比べサイズが大きくなりやすいことを示し、その違いはより束縛の弱い不安定核でより顕著に表れうることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究独自の枠組みを用いることにより、他の先行研究にはない観点からダイニュートロンの研究をなすことができた。これまでの研究から様々な新しい示唆をなすことができ、更には自分の中でもダイニュートロンに関する物理の理解が深まってきた。よって今後の研究の進展にも繋がる基盤が築けたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的はダイニュートロンの普遍的性質を解明することであり、そのためには様々な中性子過剰核を系統的に研究することが不可欠である。これまでの進めてきた研究から、どのような構造がダイニュートロンの形成にどのような寄与を及ぼしうるか、その糸口がつかめてきた。それをより深く明瞭に理解するために、詳細な議論を幅広い領域における中性子過剰核について行っていく。系統的計算には膨大な計算コストがかかることが危惧されるが、スーパーコンピュータなどを活用することにより効率よく数値計算・解析をこなしていく。
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