研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は,深紫外領域における分光法の確立により,高Al組成AlGaN/AlN量子井戸内の不均一性に起因したキャリアダイナミクスを解明することである.・発光機構の励起強度依存性…Ti:sapphireレーザの第4高調波発生装置,および光学パラメトリック発振器による深紫外レーザを用い,高Al組成AlGaN/AlN量子井戸に対して,低温での励起強度依存PL,時間分解PL測定を行った.励起強度を増加させると,発光機構が励起子発光から電子正孔プラズマ発光に変化し,PL再結合寿命が著しく短くなった.また,PL積分強度は,弱励起側から(i)線形,(ii)超線形,(iii)再び線形,(iv)線形未満の順に増加した.この現象を,レート方程式を用いて議論し,非輻射再結合中心密度,内部量子効率,輻射再結合確率といった重要なパラメータを定量した.・顕微PL測定…量子井戸内における不均一性の起源となりうる井戸幅揺らぎとAl組成揺らぎの計算結果と,実験結果の比較を行った.結果,数ミクロンオーダの不均一性の起源はAl組成揺らぎによるものだと明らかにした.また,ヘテロエピタキシャルとホモエピタキシャル成長によるAlGaN量子井戸内における不均一性の比較も行い,ホモエピタキシャルAlGaN量子井戸における均一性の高さを実験的に示した.・励起子局在化とLOフォノン相互作用…ホモエピタキシャル高Al組成AlGaN/AlN量子井戸内における均一性の高さによって,顕微PLスペクトルに明瞭なLOフォノンレプリカが観測された.LOフォノンカップリングの大きさをSパラメータを用いて定量し,計算結果と比較した.結果,Frohlich相互作用による従来の計算モデルでは説明できないことが分かった.AlNの励起子は,Wannier励起子とFrenkel励起子の境界付近に位置付けられていることから,自己束縛励起子による考え方を取り入れ,高Al組成AlGaN量子井戸内における,励起子の特異な特徴を指摘した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
Journal of Applied Physics
巻: 117 号: 7
10.1063/1.4908282
巻: 117 号: 11 ページ: 115702-115702
10.1063/1.4915533
Applied Physics Letters
巻: 104 号: 25
10.1063/1.4884897
http://www.optomater.kuee.kyoto-u.ac.jp/index.html
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