研究課題/領域番号 |
12J01905
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
畑 有紀 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2013年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2012年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 食文化史 / 養生 / 情報伝達 / 本草学 / 身体 / 近世文化史 / 食物本草 |
研究概要 |
本年度は、(1)麻疹に関連する文芸作品に示された情報、(2)食物の優劣争いの系譜、(3)養生訓を説く江戸後期の文芸作品、を中心に研究を行った。 (1)では、幕末の麻疹流行時に制作された麻疹絵、滑稽本『麻疹太平記』等の分析を通じて、疫病流行時、庶民に普及した情報について考察した。特に『麻疹太平記』に関しては、描かれた食物を通して、物語と本草学との関連について分析を試みた。そして、食物本草や救荒の分野の啓蒙が意識されていた歴史的背景をもふまえ、人々の食物に対する関心が、物産から健康維持に関する情報へと変容、それが物語に反映された可能性があると結論づけた(説話文学会平成25年度大会で発表)。 (2)では、酒と飯の争いを描く「酒飯論絵巻」や、酒と菓子の争いを主題とする「酒餅論」関連作品について検討した。室町時代の「酒飯論絵巻」には食物本草の影響が見られないこと、一方で複数の黄表紙に本草学の知識が見えること、そして(1)の成果にも鑑みて、時代を下るにつれ、本草学が文芸作品に与える影響が強くなったのではないかと推察するに至った(『アジア遊学』172号等で発表)。「酒餅論」作品に関しては、都立中央図書館加賀文庫等の所蔵資料調査を通して、江戸中後期の複数の作品から読み取れる酒や菓子の種類、産地、店名等の情報を見立番付・絵双六の情報と対照した。また、見立番付と食物の優劣争いの物語との関連性にも言及した(「第1回日本文化に関する国際シンポジウム」で発表)。 (3)では、錦絵「飲食養生鑑」・「房事養生鑑」等、体内の臓腑や器官を擬人化する絵物語を取り上げ、これらに表現された身体と養生について考察した。その結果、上記二画は、先行研究が指摘する、過度の飲食や房事を慎むという養生訓のみならず、臓腑の配置、形状等の情報を知ることも、養生の要としていることを明らかにした(「絵ものがたりの世界―異類・異界・異形―」で発表)。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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