研究課題/領域番号 |
12J01907
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中津 大貴 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 不斉反応 / ジアゾカルボニル化合物 / 酸触媒 / 分子内環化反応 / フリーデルクラフツ反応 |
研究概要 |
近年、ジアゾカルポニル化合物を用いた酸触媒反応は当研究室を中心に盛んに研究されている。ただその反応開発は酸で活性化された求電子剤に対してジアゾカルボニル化合物が求核的に付加することによるジアゾニウム中間体の発生と続く脱窒素を伴った分子骨格形成という反応機構についてのものに限られている。このような中私はジアゾカルボニル化合物と酸触媒という同一の組み合わせでありながら、上記のものとは異なる反応機構の存在に着目するに至った。すなわち、酸触媒が直接ジアゾカルボニル化合物を活性化することで生じる求電子性を帯びた酸配位ジアゾニウム炭素に対して脱窒素を駆動力とした求核剤の付加により生成物を与えるというものである。私はこの反応形式を利用した以下のような反応開発を行ってきた。 [1]フリーデルクラフツアルキル化反応を利用したジアゾケトンの分子内環化反応の開発 まずは酸触媒存在下における環化反応のための基質としてジアゾカルポニル化合物を設計し、反応系をデザインした。この反応は4位に置換基を有するα-テトラロンを一挙に形成できる興味深い反応である。同反応は1当量のルイス酸存在下では円滑に進行したが、ルイス酸の量を減らすと反応速度が大きく低下したため触媒回転していないと考えられた。 [2]分子間不斉フリーデルクラフツアルキル化反応の開発 [1]の反応開発において酸触媒の触媒回転が困難であるという問題が生じたことから、より反応系を単純化することを考え、ジアゾエステルのフリーデルクラフツアルキル化反応を検討することとした。酸触媒や反応条件を検討した結果、この反応形式においてはブレンステッド酸の触媒回転が可能であることが分かった。そこで次の展開として触媒的不斉化を試みる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の計画通りにフリーデルクラフツアルキル化反応を利用したジアゾケトンの分子内環化反応において触媒回転可能な酸触媒を見出すために多くの酸触媒を検討したが、適切な酸触媒は見つからなかった。そこで反応の単純化を考えた結果、分子間不斉フリーデルクラフツアルキル化反応というジアゾカルボニル化合物の潜在的求電子性を利用した新たな反応系を見つけ出すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の流れを引き継ぎ、分子間不斉フリーデルクラフツアルキル化反応の開発を行う。現段階で触媒回転可能な酸触媒は見出しており、今後は不斉反応へと展開していく。具体的にはアキラルなブレンステッド酸触媒のスクリーニングにおいて良好な触媒能を示した酸を活性部位として有する既存の光学活性酸触媒をまずはスクリーニングし、その適用限界を見極める。 その後、さらなる触媒デザインの精緻化を行い、高収率、高立体選択的に反応を促進できる触媒を見出す。
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