研究課題
特別研究員奨励費
1.渤海都城の造営過程の復元本年度は、昨年度までに分析を終えた東京大学考古学研究室が保管する渤海上京遺跡出土瓦の三次元計測データから、渤海都城の造営過程の復元を行った。具体的には、同范瓦(同じ型を用いて製作した瓦)の范傷の進行具合と瓦が出土する遺構から、都城の造営順序を考察した。その結果、現在知られる渤海上京龍泉府の郭城が9世紀半ばに出現するとする従来の説とは異なり、9世紀初頭にはその形が完成していたことが明らかとなった。この成果はヨーク大学で行われたリサーチフォーラムの場において発表し、大きな反響を得た。また、昨年中国で刊行された八連城遺跡の新報告書を入手し、その分析に着手した。その結果、西古城遺跡も加えて渤海の3つの都城の比較研究が可能となった。特に八連城と西古城では使用瓦の内容がほぼ同じで、同范瓦も多数確認できる。しかし、多数を占める瓦の型式はそれぞれ異なることが明らかとなり、現在その造営時期について詳しく検討しているところである。近いうちに具体的な根拠をもった渤海都城全体の変遷を提示できると確信している。2.唐代および併行期における東アジアの鉛釉陶製品の研究昨年度までに引き続き、緑釉瓦を含む唐代や渤海併行期の鉛釉陶製品の検討をおこなった。比較研究として、本年度は新たにイギリス等ヨーロッパ各国が収蔵する唐三彩など東アジアの鉛釉陶製品の資料収集をはじめた。イギリスやフランスを中心とするヨーロッパ諸国には、主に19世紀後半から20世紀前半に個人収集家が集めた唐三彩などの鉛釉陶製品が多く存在し、現在各地の博物館で見ることができる。この中には中国国内でさえも収蔵点数が限られた精製品も含まれるが、意外と研究者にはその存在が知られていない。そこで、研究のための基礎資料として、イギリスを中心に博物館などが収蔵する唐代併行期の鉛釉陶製品のデータの収集を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Asian Archaeology
巻: 3 ページ: 145-165
中国考古学
巻: 15 ページ: 127-152
40021030969
漢代西域考古与漢文化
巻: (入稿済み)
奈良文化財研究所研究紀要
ページ: 62-63
巻: (註:校正中)
巻: 第12号 ページ: 85-108