研究課題
特別研究員奨励費
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の無呼吸或いは低呼吸が原因で低酸素血症となることで肺血管が収縮し、心臓から肺に血液を送る肺動脈の圧が上昇する肺高血圧となる。本研究では、より詳細な睡眠時無呼吸症候群の臓器障害の発生機序について哺乳動物であるラットを用いて検討を行った。そして、申請先研究室によって開発された間歇的低酸素(Intermittent Hypoxia: IH)発生装置を利用することで睡眠時無呼吸症候群の病態モデルを再現し、2ヶ月齢及び9ヶ月齢ラットを用いて4週間曝露後の加齢による心肺循環機能の影響について検討した。その結果、9ヶ月齢ではIH曝露により一酸化窒素(NO)合成低下による肺血管内皮細胞機能障害による肺高血圧症を発症し、2ヶ月齢ではIH曝露による肺血管機能が維持されていたことより、IH曝露による肺高血圧症の発症は、加齢に伴うNO合成抑制による肺血管内皮細胞機能の低下が考えられた。血管内皮細胞機能低下の一因に、血管内皮細胞内Arginase活性上昇に伴うNO合成低下が知られており、Arginaseは、加齢に伴いその活性が上昇することが知られている。そこで肺内Arginase活性について検討を行った結果、2ヶ月齢で、Arginase活性は対照群及びIH曝露群では有意な変化は認められなかったが、9ヶ月齢ではIH曝露群においてArginase活性の顕著な上昇が認められた。更に、9ヶ月齢ラットを用いてArginaseの選択的阻害剤をIH曝露期間中4週間投与したところ、肺高血圧症の発症抑制及びNO産生量の回復が認められた。以上より、2ヶ月齢及び9ヶ月齢のラットを用いたIH曝露では、加齢に伴い肺血管内皮細胞内でのArginase活性及び発現上昇がNO産生を低下させ、肺血管内皮細胞機能低下による肺高血圧症の発症を導いたことが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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