研究課題
特別研究員奨励費
本年度は,塗布プロセスで作製可能な有機論理回路の実現を目指すため,昨年度までに確立した高移動度有機半導体単結晶の塗布製膜プロセスの信頼性を飛躍的に高めるプロセスの開発を行った.論理回路へ応用することが可能な高移動度を有する大面積単結晶有機半導体薄膜の塗布製膜プロセスについては,すでに本課題で確立したものであり,2013年度に論文で報告している.研究代表者は,この製膜プロセスにおいて,製膜条件のわずかな差が作製される薄膜の結晶性にクリティカルな影響を及ぼす課題が存在することを見出した.これは,実用的な有機論理回路の安定的な生産を考慮した場合に解決すべき,重要な課題である.そこで本年度は,実デバイスへの応用を見据え,単結晶性高分子の添加による溶液の高粘度化で,製膜の安定性を大きく向上させる一方で,有機半導体のキャリア輸送性能との両立も図る製膜法を考案し製膜プロセスの確立を試みた.この手法では作製された高分子と低分子有機半導体の複合有機半導体薄膜は,有機半導体単結晶薄膜と高分子薄膜の二層構造を形成する.作製された薄膜の半導体層の結晶性は,高分子を添加しない従来法で作製された薄膜と同等であることが確かめられた.また,この製膜法によれば,従来法と同等のキャリア伝導性能を有する高移動度薄膜を,従来の製膜速度からその4倍の速度製膜という広い製膜条件範囲で作製することが可能であり,高分子の添加がプロセスウインドウの拡大に大きく寄与することが明らかになった.従来法と比較して製膜安定性および単結晶薄膜の製膜速度が劇的に向上した本手法は,大規模な論理回路の形成に非常に強力な手段であり,本研究課題の標題にも掲げられている塗布可能な有機電子デバイスの実用化を推し進めるという観点から,重要な成果であると考えている.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Advanced Materials
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