研究概要 |
本研究の主な目的は以下の4点であった。 1. 北海道道東に位置する厚岸湖(アマモ場)および厚岸湾における麻痺性貝毒原因藻類に対する殺藻細菌の探索 2. 他国のアマモ場が持つ麻痺性貝毒原因藻類に対する殺藻細菌の探索 3. 上記2点の海域から単離された殺藻細菌のPCR法による分子系統解析 4. 上記2点の海域から単離された殺藻細菌の殺藻特性の評価(Quorum Sensingの観点から) 上記のうち、1.と2.については平成24年度のうちに終了させたため、3.および4.の成果を記す。 3. 単離された殺藻細菌のPCR法による分子系統解析 単離した殺藻・増殖阻害細菌の16S rRNA遺伝子解析をPCR法に基づいて実施した。その結果、厚岸湖および厚岸湾で単離した細菌はCFBグループ、GammaproteobacteriaおよびAlphaproteobacteriaに大別されることが分かった。また、米国ワシントン州で単離した細菌は、GammaproteobacteriaおよびAlphaproteobacteriaに大別されることが分かった。 4. 殺藻細菌の殺藻特性の評価(Quorum Sensingの観点から) 細菌が藻類に対して殺藻能を発揮する過程において、Quorum Sensingをしている可能性のある細菌が見出されたため、実験により検証した。藻類培養区(Control), 藻類に細菌を添加した実験区(Negative Control)、Quorum Sensing阻害物質β-シクロデキストリンを添加した実験区を用意した。 その結果、3株の細菌においてQuorum Sensingの可能性が見出された。殺藻細菌の分野でQuorum Sensingの可能性を見出し、藻類の増減と共にその能力を図で明確に示したのは本研究が初めてであるため、大きな成果だったと言える。
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