研究概要 |
1. MIG-39の発現部位の解析 MIG-39の303aaから470aaを抗原ペプチドとし、MIG-39抗体を得ることに成功した。作成した抗体を用いて免疫染色法を行いMIG-39の生体内での局在を観察した。MIG-39は生殖巣先端のDTCの核内および生殖細胞の核内に局在が見られた。この局在はmig-39 (tk107, tk102, では見られなかった。ヒトDREFでも同様な局在パターンが見られていることが報告されている(Yamashita et al., THE Journal of Biological Chemistry 282,7563-75,2007)。発現時期を明らかにするため、ステージ毎に免疫染色を行ったところ、L4幼虫期にはすでに局在しており、成虫期、成虫期から2日後では、DTCへの局在の割合が低下していた。このことから少なくともL4幼虫期にはMIG-39がDTCに局在していることが正常なDTCの停止に必要であることが分かった。L4幼虫期はDTCが減速を開始することも明らかにしており今回の結果は減速時期と一致していた。 2. 低分子量G蛋白質との相互作用 低分子量G蛋白質は一般的に細胞移動や、仮足の伸長などにかかわっていることが知られており、細胞骨格と細胞移動が関与しているかを、遺伝的手法を用いて調べることとした。低分子量G蛋白質をコードしているced-10/Rac GTPase, rac-2/Rac, unc-73/Rho GEF, mig-/Rho2の単独変異およびmig-39変異体との二重、三重変異体でDTCの行き過ぎ(overshoot)がどう変化するかを腹側の神経とDTCを蛍光標識し観察した。観測の結果、低分子量G蛋白質をコードしている遺伝子の単独変異ではovershootが見られなかったが、mig-39変異体頭側と尾側の生殖巣において異なる結果が得られた。このことから低分子量G蛋白質の活性が頭側と尾側で異なっており、頭側と尾側でRac活性に対する感受性が異なることが分かった。特に前側ではRacの活性が一定の割合まではovershoot異常を増強し、その割合を下回ると抑制に働くことが分かり、尾側はその逆であることが分かった。
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