研究課題
特別研究員奨励費
三次元動作解析装置や筋電図計を用いた運動計測の手法と筋骨格モデルを用いた順動力学的解析に基づく動作時の筋張力推定の手法を用いて、患者が腫瘍切除に伴う筋機能欠損をどのように克服しているかを調べた。最終年度を終え、大腿部軟部肉腫切除後患者を6名、健常者を1名の測定を終了した。計測データから股関節内転筋群とハムストリングスを切除した患者では歩行時の立脚期前半にて足関節底屈筋の活動が通常より早い段階で認められた。健常者の筋活動解析の結果と比較しても患者では接地後の足関節底屈筋の活動が高い傾向が確認できた。筋骨格モデルを用いた解析により患者の動作時の筋張力を推定したところ、股関節内転筋群とハムストリングスを切除した患者では患側接地時に大殿筋の筋張力が健側に比べ大きいことが示唆された。一方で大腿四頭筋の1つや縫工筋を切除した患者では上記の様な特徴は明らかには見られなかった。これより、内転筋やハムストリングスを大きく失った者は大殿筋や足関節底屈筋の活動を高めることで患側下肢の安定性を高めることが可能であると考えられた。また、四頭筋の1筋の切除を行う程度では代償的な筋負荷の増大は顕著ではないことが示唆された。以上の検討から、これまでかにされていなかった軟部肉腫患者の腫瘍切除の動作の特徴や具体的な動作戦略の一端が明らかとなり、同様の患者に対しリハビリテーション介入を行う際の事前情報として活用されることが期待される。本年度は解析結果を国内外の学術集会で発表し、研究内容に関する議論を行った。今後は発表から得られた内容を元に論文を作成・発表する。
2: おおむね順調に進展している
本年度では対象者の計測を終了し、国内外の学術集会で研究成果を発表できた。また、工学研究者も多く参加するワークショップでも研究内容を発表し、他分野の研究者とも意見交換が行えた。
(抄録なし)
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