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エイズウイルス感染病態におけるマクロファージの意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J02574
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 応用獣医学
研究機関京都大学

研究代表者

坂部 沙織  京都大学, ウイルス研究所, 学振特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2012
研究課題ステータス 完了 (2012年度)
配分額 *注記
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2012年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワードエイズウイルス / マクロファージ / 活性化 / M1 / M2
研究概要

背景と目的
マクロファージ(MΦ)は、その活性化の様式からM1とM2MΦに分類されることが近年報告されている。M1MΦは、Th1細胞と相互作用し、細胞性免疫や組織障害に関わり、M2MΦは、Th2細胞と相互作用し、液性免疫や創傷治癒に関わる。
ヒトがエイズウイルスに感染すると、インフルエンザ様症状を示す急性期、無症候である慢性期を経て、エイズを発症する。M1MΦは急性期に、M2MΦは慢性期からエイズ期の病態進行に関与するという仮説をもとに、M1MΦ、M2MΦにおけるエイズウイルスの挙動を明らかにし、MΦの活性化がエイズの病態進行にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とし、本研究を行っている。
研究実施状況
(1)In vitroにおけるM1/M2MΦの作出
ヒト末梢血およびアカゲザル末梢血から単球を分離し、M-CSFを用いてMΦを誘導した。MΦ誘導後、IFN-γまたはIL-4を用いて、MΦを活性化させ、M1およびM2MΦのマーカーの発現をqRT-PCRを用いて調べた。ヒト、サルともに、IFN-γで活性化させたMΦはM1の、IL-4で活性化させたMΦはM2のマーカーを発現していることが確認できた。
(2)M1/M2MΦにおけるエイズウイルスレセプター・コレセプター発現の解析
M1MΦ、M2MΦでは、どちらの方にエイズウイルスが感染しやすいかを明らかにするため、エイズウイルスのレセプターおよびコレセプターであるCD4,CXCR4,およびCCR5の発現量をqRT-PCRおよびFACSを行い比較解析した。どちらのMΦでもCD4,CXCR4,CCR5全ての発現が認められたが、M2MΦでは特にCXCR4の発現が増加していることが分かった。サルとヒトどちらのMΦでも、同様の結果が得られた。
(3)H1MΦ、M2MΦにおけるエイズウイルスの複製
ヒトM1およびM2MΦに、コレセプター指向性の異なるHIV-R5、R5×4,およびX4ウイルスを感染させ、ウイルス増殖を比較した。R5ウイルスは、M0(活性化させる前のMΦ)>M2>M1の順に、R5×4ウイルスはM2>M0>M1の順にウイルス増殖が減少した。R5×4ウイルスが膿MΦで高い増殖性を示したことは、CXCR4の発現がM2MΦで高くなっていたためであると考えられる。サルに感染するエイズウイルスSIVについても、サルのMΦにおいて同様の結果が得られた。
(4)M1MΦ、M2MΦの識別法の検討
個体内でのMΦの活性化状態を識別するため、FACSを用いてM1およびM2MΦの識別を試みた。活性化前と比べ、最も発現量の増加が認められた因子はM1MΦではCXCL9、M2MΦではCCL18であった。これらの因子は、ケモカインであるため、Intracellular staining(ICS)を行った。さらに条件検討が必要ではあるが、In vitroにおいて誘導したM1およびM2MΦは、CXCL9およびCCL18に対する抗体を用いて、識別できるのではないかと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

M1およびM2MΦにおけるエイズウイルスの挙動について、今年度はIn vitroでの解析を主に行った。ヒトでのM1およびM2MΦの作出方法についてはこれまでに報告があるものの、サルについては全く報告が無かったため、ヒトの場合と同様に作出できるのかは未知であった。しかし、サルについてもほぼヒトと同じ性質を持ったM1およびM2MΦの作出に成功した。また、In vitroで誘導したMΦを用いて、その発現蛋白によるM1およびM2MΦの識別にも成功し、今後、In vivoでのMΦ活性化の識別へ利用に期待がもてる。

報告書

(1件)
  • 2012 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)

  • [雑誌論文] Protective efficacy of orally administered, heat-killed Lactobacillus pentosus b240 against influenza A virus2013

    • 著者名/発表者名
      Kiso M, Takano R, Sakabe S, Katsura H, Shinya K, Uraki R, Watanabe S, Saito H, Toba M, Kohda N, Kawaoka Y.
    • 雑誌名

      Scientific reports

      巻: 3 号: 1

    • DOI

      10.1038/srep01563

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] The lipid mediator protein dl inhibits influenza virus replication ana improves severe influenza.2013

    • 著者名/発表者名
      Morita M, et al.
    • 雑誌名

      Cell

      巻: (In press)

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] No viral Evolution in the lymph Nodes of Simian Immunodecifiency Virus-Infected Rhesus Macaaues during Combined Antiretroviral Therapy2013

    • 著者名/発表者名
      Oue M, et al.
    • 雑誌名

      J Virol

      巻: (In press) 号: 8 ページ: 4789-4793

    • DOI

      10.1128/jvi.03367-12

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differences in cytokine production in human macrophages and in virulence in mice are attributable to the acidic polymerase protein of highly pathogenic influenza A virus subtype H5N1.2013

    • 著者名/発表者名
      Sakabe S, et al.
    • 雑誌名

      J Infec Dis.

      巻: 207(2) 号: 2 ページ: 262-271

    • DOI

      10.1093/infdis/jis523

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] A replication-incompetent virus possesing an uncleavable hemagglutinin as an influenza vaccine.2012

    • 著者名/発表者名
      Katsura H, et al.
    • 雑誌名

      Vaccine

      巻: 30(42) ページ: 6027-6033

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり

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公開日: 2013-04-25   更新日: 2024-03-26  

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