研究課題
特別研究員奨励費
フェロモンは、ある個体が発し、同種の別個体に受け取られて特定の行動や生理的変化を促す物質である。共同研究者の東原らは、オスマウスの涙よりメスマウスの鋤鼻神経系を活性化する新規の不揮発性ペプチドを同定し、ESP1と命名した。また、ESP1受容体がGタンパク質共役型受容体(GPCR)に属するV2Rp5であることも明らかにした。さらに、我々はESP1がメスマウスの性行動を促進することを解明した。ESP1はリガンドと受容体、そして機能までが明らかになっている哺乳類における初めてのペプチド性フェロモンである。しかしながら、V2Rp5のESP1認識機構やESP1刺激による脳内のシグナル伝達機構などは不明な部分が多い。本研究は、構造生物学的手法を用いてESP1―V2Rp5間の特異的な相互作用機構と受容体の構造変化が引き起こすシグナル伝達機構を解明することを目的とする。また、ESP1の刺激による脳内の活性化部位を明らかにし、フェロモン作用を引き起こす脳内シグナリングを明らかにする。25年度は、V2Rp5のESP1結合領域を同定するため、V2Rp5の変異体解析を行った。V2Rp5変異体は小麦胚芽無細胞系で発現を行い、ESP1とのプルダウンアッセイを行い、V2Rp5細胞外領域のESP1が結合する領域を明らかにした。MRIを用いた活性評価系の構築に取り組んだ。マンガン造影剤を用いて活性化細胞を観測するMEMRI法を用いて、活性評価系の検討を進めた。フェロモンと同様に嗅球を活性化する匂い分子を用いて実験を行い、匂い分子による活性化部位の違いを検出する評価系を構築した。構築した方法をESP1に応用し、ESP1の活性化部位検出法の初期検討を行った。
(抄録なし)
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