研究課題
特別研究員奨励費
近年、様々な食品中にD-アミノ酸が検出され機能が注目されているが、食品中のD-アミノ酸の機能に関する研究は極めて少なく、その合成経路についても、不明な点が多い。本研究ではD-アミノ酸の食品機能性(呈味性、抗菌作用)の評価、及び、発酵食品のD-アミノ酸生産経路の解明を目的する。D-アミノ酸の呈味性の評価 平成24年度に続き、D-アミノ酸の呈味性、抗菌作用について検討を行う予定であった。しかし、新規アミノ酸ラセマーゼの詳細な機能解析とその研究成果の学術論文への投稿、及び乳酸菌由来D-アミノ酸脱水素酵素の大量発現系の構築と機能解析の研究を優先したため、D-アミノ酸の食品機能の解析は、実験手法の検討にとどまり、十分な成果を得るには至らず、今後の課題として残された。D-アミノ酸の合成経路の解明 平成25年度は前年度に見いだした新規アミノ酸ラセマーゼのより詳細な機能解析を行い、前年度報告した特徴的な基質特異性だけでなく、酵素の四次構造、反応の最適pH、補酵素PLP (pyridoxal-5'-phosphate)酵素グループとしての特徴からも、本酵素がこれまでに報告例のない非常に特徴的な新規性の高い酵素であることを明らかにした。すなわち、発酵食品中のD-アミノ酸について、全く新規の合成経路の解明に成功した。また、乳酸菌におけるD-アラニン(D-Ala)の新規な合成機構を明らかにするため、乳酸菌Lactabacillus plantarumのゲノム中に存在するD-アミノ酸脱水素酵素推定遺伝子の機能解析を進め、大腸菌での大量発現系を構築し、目的遺伝子産物を得る事に成功した。これまで、D-アミノ酸脱水素酵素は4種のグラム陰性菌でしか機能解析が行われていないため、グラム陽性菌由来の本酵素にD-アミノ酸脱水素酵素活性を見出し、詳細な機能解析を行うことができれば、本研究によって得られる成果は酵素学的に新規性の高いものになると考えられる。
(抄録なし)
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