研究実績の概要 |
初年度に作製したM細胞特異的分子MLPの腸管上皮細胞特異的遺伝子欠損 (MLP delta) マウスを用いて, M細胞におけるインテグリン分子の発現解析を行った. α5, 及びβ1インテグリンに対する抗体を用いてパイエル板を染色したところ, MLP deltaマウスのGP2陽性M細胞においては管腔側におけるインテグリン分子の発現が認められなかった. 腸管オルガノイド培養により同様にしてα5, 及びβ1インテグリンの発現を検討したところ, MLP deltaマウス由来の腸管オルガノイドGP2陽性M細胞においては管腔側におけるインテグリン分子の発現が認められなかった. 前年度までに, MLPを強制発現した腸管上皮細胞株においてα5β1インテグリンの活性化を制御することを示している. そこでMLPがどのようにしてα5β1インテグリンの活性化を制御しているのかについて明らかにするため, インテグリンの活性化に関与するとして知られる低分子量GタンパクRap1の活性化について検討を行った. ウェスタンブロット法による解析から, MLP強制発現細胞において, Rap1の活性化が亢進することが明らかとなった. このことから, M細胞においてMLPによりRap1の活性化が亢進し, 次いで活性化したRap1によりα5β1インテグリンが活性化することで, エルシニア菌の認識に寄与していることが示唆された.
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