研究課題
特別研究員奨励費
好熱性アーキアThermoplasma acidophilumには2種類のRecJ様タンパク質(RecJ1、RecJ2)が存在するが、RecJ1はGINSと相互作用せず、RecJ2はGINSと安定な複合体を形成すること、その相互作用にはGins51のBドメインが必須であることを発見した。また、RecJ2-GINS複合体のモル比は2:1であり、真核生物におけるCMG複合体内のCdc45-GINS複合体のモル比である1:1とは異なることを明らかにした。T. acidophilum細胞抽出液を用いて免疫沈降実験を行ったところ、RecJ1はMCM、GINS、RecJ2のいずれとも同じ複合体内には存在しなかった一方で、RecJ2は細胞内においてMCM、GINSと同じ複合体内に存在することが示唆された。しかし、RecJ2存在下でMCMのヘリカーゼ活性の上昇は検出されなかった。さらに、Gins51の野生型とBドメインの欠損型は同じ効率でMCMのヘリカーゼ活性を促進したことから、MCMの活性化にはGins51のBドメインとRecJ2は関与していないことが示唆された。これは、GINSサブユニットのBドメインがMCMの活性化に必須である真核生物とは大きく異なる結果である。また、RecJ自身の持つヌクレアーゼ活性についても検討したところ、RecJ1はDNA特異的な5′-′エキソヌクレアーゼであり、RecJ2はRNAに対して特異性の高い3′-5′エキソヌクレアーゼであった。他の生物種におけるRecJ活性測定の結果と比較すると、RecJタンパク質は生物種によって多様性に富んだ活性を有していることから、RecJのエキソヌクレアーゼ活性もまた、DNA複製に必須な役割を有していないと予想している。前年度までの研究により、T. acidophilumにおいては複製起点認識因子Cdc6/Orc1ホモログ2種類のうち1つ、Cdc6-2がGINSと相乗的にMCMのヘリカーゼ活性を上昇させることが明らかになっていることから、T. acidophilumは、アーキアと真核生物に分岐した後でCdc45ホモログを用いずにMCMを活性化する独特の機構を獲得したと予想される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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