研究課題
特別研究員奨励費
系統の近い種どうしが生息環境や分布を分けている例はよく知られている。その一方で、熱帯域にかけては種数が増加していき、同じ属の種が地域的に共存している。適応放散を駆動したメカニズムについての研究は進んでいるが、分化した多くの同属近縁種が共存できるメカニズムについては不明な点が多い。私はこれまでの研究から、繁殖プロセスにおける負の種間相互作用(繁殖干渉)があるとき競争排除(ニッチ分割)が生じ、そうでない場合は共存できることを指摘した。そこで、熱帯域で共存している同属近縁種間では、繁殖形質に多様化が起きているため、強い繁殖干渉が起こらずに共存できることを予測した。ウガンダおよびグアテマラの熱帯林においてチョウ類群集を対象とした調査を行なった。生息環境、活動時間、出現時期に加え、チョウの繁殖形質として翅の大きさ、色、模様を比較した。また、既存の分子系統樹より系統情報を得た。その結果、仮説をおおむね支持する結果を得た。同じニッチに共存している同属種では、系統と繁殖形質が比較的分化している可能性が見られた。この成果は、「同じ環境に多種が共存している」とされる「プランクトンのパラドクス」を解決するものである。同時に、近縁種間でのニッチ分割を説明しているため、従来のニッチ理論との整合性も高い。 熱帯における多種共存メカニズムと繁殖干渉についての関係について概念的な整理を行なった(論文投稿済み)。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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European Journal of Entomology
巻: (in press)
Journal of Animal Ecology
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Entomologia Experimentalis et Applicata
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Population Ecology
巻: 54 号: 3 ページ: 455-465
10.1007/s10144-012-0317-6
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