研究課題
特別研究員奨励費
申請者は、社会性場面における情動出力を行動因子に分解し統合的に評価する系を用い、社会性機能障害の臨床診断・治療効果評価に利用可能な、統計的評価モデルを開発する事を目的とし、研究を進めてきた。また、評価モデルの神経生理的裏付けを得るため、並行して、モデル動物を用い、行動・神経機能の両面から社会性機能基盤の解明を進めてきた。初年度において明らかとなった、モデル動物における生後初期発達に関し、非接触型測定による情動行動モニタリングと、中枢神経系機能(扁桃体における細胞構造)の相関性をふまえ、免疫染色法を用いた細胞機能の解析を進める事で、社会性情動行動学習に関する生物数理モデルを導いた。臨床研究においては、自閉症患者を対象とした非接触測定(可視および赤外画像センサ)を用いた臨床場面(医師および看護師との対面)における情動行動の測定を行い、モデル動物と相同の統計的評価を行うアルゴリズムをまとめた。更に、より一般生活に近い、画像取得が困難な場面を想定し、健常者を対象として、モバイル端末内蔵型物理センサを用いた行動測定と、環境(温度・湿度)を含めた客観的指標の解析を行った。周波数解析および主成分分析により、心理スコア(作業時効率など)に特異的なパタンの分離に成功した。結果、限定的な測定条件ながら、これまで測定・定量が困難であった複雑な主観的情動状態に関する情報("今日は調子が悪い"など)に対し、誰もが簡便にアクセス出来る評価系を確立した。本研究課題の目的である、精神疾患(特に発達障害)の診断支援において、患者を対象とした非接触測定による評価系、および、複雑な構造の室内や、画像撮影が困難な日常場面に置いても、誰もが違和感無く持ち運べる小型物理センサを利用する事で、被験者に対する低負荷・高情報の情動行動モニタリングを実現した。
(抄録なし)
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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Neuroscience Letter