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ゲージ/重力対応を用いてQCDのカラー超伝導相のような高密度QCDの記述には、まず有限密度系の拡張の方法を確立することが不可欠である。そこで、我々はラージNのQCDの有効模型である酒井・杉本模型の有限密度系への従来の拡張の方法から調べ直した。すると、従来の拡張方法では、真空から核物質相への1次相転移が見られず2次相転移を示すなど、期待される振舞いとは異なる結果を得ている事がわかった。したがって、カラー超伝導などの高密度QCDの解析を取り組む前に、より有効な有限密度系への拡張方法を得る必要がある。
我々は、より有効な有限密度QCDの模型を得るために、従来のいくつかのアイデアを組み合わせると同時に、dilute gas近似を取り入れるなどシンプルな解析方法を提案した。この方法では、高密度における真空から核物質相への1次相転移を示した。また、バリオンのサイズがバリオン数化学ポテンシャルの増加とともに大きくなることも示し、化学ポテンシャルの増加はバリオン内の閉じ込めの力を弱める事がわかった。我々の拡張方法はいくつかの近似があり、改善の余地はあるものの、理に適った振舞いを示しており、高密度QCDの記述への布石となる成果を得た。当初予定をしていたカラー超伝導の解析までは行えなかったものの、従来の拡張方法を改良し、真空から核物質相への1次相転移を示すアプローチを提案することまではできたと思われる。この成果について、国内で4件の学会発表をし、レビュー誌Physical Review Dに投稿した。
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