研究課題
特別研究員奨励費
21世紀に入り、都市人口と市街地面積は加速度的に増え続けており、生物多様性・生態系サービスを保全・維持した都市計画が求められている。こうした社会的要請を受けて、最近、都市計画をめぐる議論から二つの解決案(開発戦略)が提示された。一つは、単位面積当たりの開発強度を最大化することで開発に必要な土地面積を抑える戦略(コンパクト戦略)であり、もう一方は開発面積を最大化することで単位面積当たりの開発強度を抑える戦略(スプロール戦略)である。最終年度であるH26年度は、これまでに得られたデータを基に、コンパクト戦略とスプロール戦略のどちらがより多くの生物種を景観内で維持できるのかを探った。具体的にはRhys E. GreenらがScience誌で提案した理論的枠組みを応用して、約70種のチョウ・甲虫類種を対象に、二つの開発戦略下における各種の個体群サイズを推定した。その結果、調査対象の8割以上の昆虫種がコンパクト戦略下において個体群サイズが最大となることが明らかとなった。本成果は、応用生態学を牽引する『Journal of Applied Ecology』誌から当議論における先駆的な実証研究として高く評価され、掲載されるに至った。さらに今年度は、既存データを再解析した総説論文を英国エクセター大学のKevin J. Gaston教授と共に執筆し、『Frontiers in Ecology and the Environment』誌に受理された。本論文では、最適な都市計画は景観の保全目標に強く依存するため、決して一意には決まらないことを提示した。そして、都市において生物多様性と生態系サービスを両立させるための新たな開発手法の必要性と複数の案を示した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Ecology and the Environment
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Urban Ecosystems
Journal of Applied Ecology
巻: 51 号: 5 ページ: 1378-1386
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