研究課題
特別研究員奨励費
本年度はイネノイルシランのキラルリチウムアミドによる不斉還元をトリガーとする光学活性アレン合成反応の反応機構(E/Z選択性,エナンチオ選択性)に関する研究を行った.まずアレンのE/Z選択性についての検討を行った.これまでにE体の基質からはZ体の,Z体の基質からはE体のビニルアレンが選択的に生成することを明らかにしている.生成物のE/Zはシリケートと求電子剤との反応が進行する際のシリケートのコンホメーションによって決定される.そこで,シリケートの前駆体であるE体,Z体のシリルアルコキシドがE体またはZ体のアレンを与えるコンホマーの自由エネルギーの値をDFT計算によって求め,比較した.その結果,E-アルコキシドではZ-アレンを,Z-アルコキシドではE-アレンを与えるコンホマーがそれぞれ安定であるという実験結果と一致する結果が得られた.次にエナンチオ選択性についても検討を行った.昨年度までに,高エナンチオ選択的に発生させたイネニルシリケートからのアニオン移動反応が高立体選択的に進行し,高いエナンチオマー比でアレンが生成することを明らかにしている.今回このアニオン移動反応においてシリケートの切断される炭素-ケイ素結合に対して求電子剤との反応がsyn/antiのどちら側で起こるのかを明らかにしようと考えた.中間体のシリケートの絶対配置を,前駆体であるシリルアルコキシドの絶対配置から,R配置であると決定し,アレンの絶対配置は既知化合物へ誘導することでR配置であると決定した.これらの結果から,イネニルシリケートと求電子剤との反応は切断される炭素-ケイ素結合に対してanti選択的に進行していることが明らかになった.anti選択的に反応が進行する理由としては,シリケートの酸素原子近傍に存在するLiカチオンに対し,求電子剤が配位した状態から反応が進行している可能性などが考えられる.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Organic Letters
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10.1021/acs.orglett.5b00261
Journal of Organic Chemistry
巻: 79 号: 8 ページ: 3601-3609
10.1021/jo500441a
http://home.hiroshima-u.ac.jp/takedake/
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