研究課題/領域番号 |
12J03275
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
富樫 甫 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 核物質 / 状態方程式 / 変分法 / 中性子星 / 超新星爆発 / 多体変分計算 / クラスター変分法 |
研究概要 |
現実的核力(AV18+UIX)から出発した多体変分計算によって作成した一様核物質状態方程式(EOS)を、ニュートリノ輻射輸送を考慮した重力崩壊型超新星爆発(SN)シミュレーションに適用した。シミュレーションでは、太陽質量の15倍の星のコアを初期モデルとして、球対称を仮定した一般相対論的輻射流体計算を行った。そして、シミュレーションから得られた高密度コアの熱力学量を、現在広く用いられているSN-EOSであるShen EOSの場合と比較することで、本研究で作成した変分法による一様核物質EOSの性質を調べた。シミュレーションの結果、ニュートリノ放出によるエネルギー損失のため、SNの爆発現象は生じなかった。これは、Shen EOSを始めとした従来の現象論的模型に基づくSN-EOSによる球対称輻射流体計算と同様の結果である。ただし、本研究で作成したEOSは、Shen EOSよりも軟らかい傾向を示し、SN爆発に有利であることがわかった。さらに、2つのEOSの対称エネルギーの違いによって、本研究で作成したEOSによる星の中心部分は、Shen EOSの場合よりも中性子過剰となった。 次に今年度の研究では、温度、密度、陽子混在度の組でおよそ2700万ポイントの一様核物質の自由エネルギーデータテーブルを完備し、それを用いたThomas-Fermi計算によって、変分法によって作成した一様核物質EOSと自己無矛盾な非一様核物質EOSの作成に取り組んだ。Thomas-Fermi計算によって得られた有限温度核物質の相図は、Shen EOSの場合と似たような傾向を示した。また、典型的な温度、陽子混在度、密度において現れる原子核の質量数と陽子数は、Shen EOSの場合よりも大きくなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非一様核物質に対するThomas-Fermi計算では、複数のパラメターによって自由エネルギーを最小化する必要があり、このパラメターの決定に当初の予測以上の時間がかかっている。また、パラメターのわずかな変化によって、低温領域における非一様核物質の自由エネルギーが不自然な挙動を示しており、本研究の達成度は研究計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
非一様核物質EOSが幅広い密度、温度、陽子混在度に対して滑らかな熱力学量のデータテーブルになるように、数値計算精度を向上させる。特に低温領城においては、現在得られている非一様核物質EOSテーブルの熱力学量に不自然な振舞いが見られるため、その改善に取り組み、非一様核物質EOSテーブルを完成させる。EOSテーブル完成後は、重力崩壊型超新星爆発を始めとした様々な高温高密度天体現象の数値シミュレーションに、作成したEOSテーブルを適用する。そして、得られた結果を従来の現象論的模型に基づくEOSを用いた場合と比較し、核物質EOSが高エネルギー天体現象に与える影響を明らかにする。
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