研究概要 |
昨年度の報告書で述べたとおり, 本年度は当初の予定を変更し, 「1. 計算時間を考慮したしきい値回路の設計および解析」に従事した. 昨年度従事した, 「2. より複雑な情報処理タスクの実現」に関する結果を利用することで, より厳密な計算時間の解析を行うことができた. 具体的には, 脳の情報処理の仕組みとして比較的研究の進んでいる画像認識に関わる関数を計算するしきい値回路に対して, 計算時間を制限した際にその計算能力にどのような影響があるかについて研究を行った. その結果, 計算時間を制限すると, 素子数やファンインが大きくならざるを得ないことを示すことに成功した. また, どの程度大きくする必要があるかについて解析を進めた結果, 最低限必要な素子数やファンインの値を正確に与えることに成功した. 研究結果の一部はすでに国際会議や学術雑誌に投稿済みであり, そのうちいくつかはすでに受理, 発表, 発行が済んでいる. 残る成果についても, 随時論文を執筆し, まとまり次第国際会議や学術雑誌に投稿する予定である. また, 本年度は昨年度得られた複数の結果についても, それぞれ国際会議「Asian Association forAlgorithms and Computation」及び「Theory and Applications of Models of Computation」等で発表を行った. さらに, 昨年度学術雑誌へ投稿していた論文は「Theoretical Computer Science (TCS)」受理され, 発行になった.
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