研究課題
特別研究員奨励費
平成26年度では、25年度に選抜した9系統の変異体のうち、まだ原因遺伝子が不明であり、且つ特に興味深い形質をもつ3系統について、遺伝学的マッピングおよび次世代シーケンスの手法を用いて原因遺伝子の同定を行った。このうち1系統ついては、実験が進んだ結果、既知の気孔開閉応答関連遺伝子が原因遺伝子である可能性が高まった。一方残りの2系統のうち1系統では、既知ではあるもののこれまで気孔開閉応答との関連は報告されていなかった遺伝子においてナンセンス変異が起こっていることが判明した。さらにもう1系統でも同じく気孔応答との関連が報告されていなかった遺伝子または未知のタンパク質をコードする遺伝子にミスセンス変異が起こっていることが分かった。このことから本研究の主目的の大部分が達成できたと考える。また本研究の一環としてシロイヌナズナエコタイプの気孔応答性解析も行っている。平成26年度では、巨大気孔をもつ4倍体エコタイプMe-0が通常の4倍体(Col4倍体)よりも高いガス交換能を示す理由を調べるため、孔辺細胞内のイオンバランスや遺伝子発現レベルを比較した。その結果Me-0ではCol4倍体に比べリンゴ酸含量が高くなっており、また防御応答関連遺伝子群の発現低下および細胞壁弛緩関連遺伝子群の発現上昇が見られた。このことからMe-0では巨大気孔を開くために生理的且つ遺伝子的な変化が起こっている可能性が示唆された。この研究成果は現在論文にまとめている最中である。さらに別のエコタイプを用いた研究で、二酸化炭素応答性の低いエコタイプ複数系統間で環境シグナルの種類による気孔応答性の違いを比較をするという試みを行った。その結果、調査した3系統のエコタイプで共通して、環境シグナルの種類によってシグナルネットワークのクロストークに偏りが見られるという興味深い知見を得た。この研究成果は学術誌に掲載済みである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS ONE
巻: 10(2) 号: 2 ページ: e0117449-e0117449
10.1371/journal.pone.0117449