研究課題
特別研究員奨励費
activatableプローブは観測対象との反応等により蛍光特性や光増感能を変化させることにより、がんイメージングや光線力学的療法において高いがん選択性を示すことが期待される。昨年度までに、activatableプローブの基盤骨格としてローダミン類の分子内スピロ環化平衡に着目し、化学構造と平衡定数や閉環反応速度の関係をレーザー分光学の手法を用いて精査してきた。検討過程において合成・評価を行ったローダミン誘導体群のうち、HMSiRが中性条件下において同時に全体の約1%程度が蛍光状態で存在し、それぞれの分子は約100ミリ秒間蛍光を発した後に再び閉環体構造に戻るという自発的明滅特性を有していることが明らかとなった。さらに、この自発的明滅特性を示すHMSiRが一分子計測に基づく超解像イメージング法であるSLMに適していることを示してきた。本年度はHMSiRのSLMにおける有用性を検証した。HMSiRは一般的な蛍光色素を用いる場合に必要な高濃度のチオールの添加や高強度のレーザー照射を必要としないため、温和な生理的条件下で生細胞のSLM可能であると考えた。実際に、Vero生細胞中の微小管をHMSiRでラベル化してSLMを行った結果、添加物等を加えること無く細胞内部で蛍光の明滅が観測され、超解像画像の取得に成功した。また、従来法に比べて10分の1以下のレーザー強度での測定が可能であり、細胞への光毒性や蛍光色素の褪色が低減される。実際に、30秒間の測定を10分間隔で7回繰り返し測定し、1時間に渡る微小管のタイムラプスSLMに初めて成功した。また、レーザー強度が弱く一般的な蛍光色素では測定が困難だったスピニングディスク共焦点レーザー顕微鏡の使用も可能とし、ガラス面から離れた細胞深部に位置する核膜孔のSLMに成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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