研究課題/領域番号 |
12J03884
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村上 しほり 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2013年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2012年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 戦災復興 / 占領期 / ヤミ市 / 露店 / 盛り場 / 民衆史 / 都市史 / 生活空間 / 闇市 / 駅前再開発 / 不法占拠 / GHQ |
研究概要 |
本年度は、前年度に行った文献調査、図像資料調査、インタビュー調査などの成果の整理し、クロスリファレンスすることによって、占領下神戸における民衆、地方行政、GHQなど多様な主体によるポリティクスの空間的表象を検討することを目指した。第二次世界大戦末期の連合国軍による空襲は、日本の主要都市の風景を大きく変えた。終戦直後の焼け跡においては、あらゆる人々が空間や衣食への権利を要求し、密度を高めた都市の駅前空間は昭和初期までとはまったく異なる性格を持つ場所になっていった。変化が大きく混乱期と呼ばれるこの時期については、これまで情報が少なく不明点が多いとされてきたが、本研究においては進駐軍の動向を検討材料に含め、民衆の環境形成の初動によってヤミ市を中心とした戦後中心市街地がかたちつくられていくプロセス、その展開によって新興市場・商店街が発生し、営業の盛衰や再開発によって現在の都市が生まれる様相を描いた。 この研究を進めるなかで、神戸という地域の独自性をあらわす在留外国人の戦後都市における台頭と、彼らを取りまく社会情勢の変化による自然発生的な市街地形成に着目して、三宮東地区の三宮国際マーケットの形成と変容について史的に明らかにする論文を発表した。また、大正昭和初期に神戸の中心地であった湊川新開地の変遷に着目して、近現代神戸の都市観光によって生まれた空間を取りあげ、地方行政の観光政策による影響や、戦前戦後の連続性と断絶性を検討した論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度にすすめた史料調査で得られた成果を鑑みて、当初の計画の枠組みに若干の修正を加えつつも、研究内容を5件の学術論文として発表することができた。また前年から引き続いて参加した研究会における成果が共著の図書として出版され、これまでの研究をまとめて今後に臨む態勢が整えられたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらなる展開として、他地域・他都市との比較研究を行い、これによって占領下日本の都市間の相違点を浮かび上がらせて地域・都市の独自性を明らかにすることを想定している。そのためにも、占領期日本の都市空間を写した映像・写真は有用であるが、人物に特化せずに都市風景を対象とした写真は、これまで十分には資料として収集・保存・活用されるに至らないままに時が経っている。そこで、戦後地域史の研究プロセスにおいて見つけた民衆の手によって残された戦後写真を、整理して目録化・画像デジタル化することで、地域に関する次代の記憶に繋げ活用できるように保存する必要があると考える。
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