研究課題
特別研究員奨励費
本年度はin vivoにおけるAMPKの筋量調節機構を解明するために、骨格筋特異的にAMPK活性を低下させた遺伝子組み換えマウス (AMPK-DN) を用いた検討を行った。2週間の後肢懸垂により、野生型マウスでは体重あたりの筋湿重量および筋線維横断面積が30%減少していたのに対し、AMPK-DNマウスでは15%の減少にとどまった。次に、surface sensing of translation (SUnSET) 法を用いて、タンパク質合成能力の指標であるpuromycinラベル化タンパク質発現量を測定した。その結果、野生型マウスおよびAMPK-DNマウスともに、後肢懸垂処置によりpuromycinラベル化タンパク質発現量が減少しており、両マウスの減少度合いに差はなかった。また、タンパク質合成を制御する分子であるAktおよび70-kDa ribosomal protein s6 kinase (p70S6K) のリン酸化タンパク質発現量を測定したが、後肢懸垂による変動は両マウスに差がなかった。次に、タンパク質分解を司るオートファジー経路およびユビキチン・プロテアソーム系経路の制御分子の発現動態を測定した。その結果、野生型マウスでは後肢懸垂により、オートファジー経路の活性マーカーであるLC3II/LC3I比率が8倍に増加したのに対し、AMPK-DNマウスでは2倍の増加であった。またユビキチン・プロテアソーム系の活性マーカーであるMuscle RING-finger 1 (MuRF1) mRNA発現は、野生型マウスでは後肢懸垂により発現が4倍に増加したのに対し、AMPK-DNマウスでは増加しなかった。以上の結果から、AMPKは廃用性筋萎縮の進行を制御する1因子であること、またその分子制御メカニズムとして、タンパク質分解経路の活性化が関与していることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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