頭頸部骨格形成におけるHoxコードの役割とその分子実態の解明

• 研究課題/領域番号: 12J03997
• 研究種目: 特別研究員奨励費
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 国内
• 研究分野: 解剖学一般(含組織学・発生学)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 北沢 太郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
• 研究期間 (年度): 2012 – 2013
• 研究課題ステータス: 完了 (2013年度)
• 配分額: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円); 2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
• キーワード: Hox遺伝子 / Dlx遺伝子 / 咽頭弓 / 神経堤細胞 / 形態形成 / 鰓弓 / ChIP-seq

研究概要

咽頭弓におけるHoxコードの未解決の課題の一つとして、Hoxコードの責任組織の解明が挙げられる。私は従来のマウス咽頭弓におけるHox遺伝子の過剰発現の実験が不十分であったことを考慮して、マウス咽頭弓におけるHoxコードの書き換え実験を行うことでHox遺伝子の性質の解明に取り組んできた。具体的にはHoxa2をCAGプロモーター-loxP-STOP-loxPの配列の後につなぎ、ROSA26遺伝子座に相同組み換えで組み込んだマウスを作製し、Wntl : Creマウス(Wntl::Cre)と掛け合わせることで神経堤細胞特異的にHoxa2を発現させたマウス(CAG-flox-Hoxa2 ; Wntl::Cre)を作製し、第1咽頭弓などに遊走する本来Hoxネガティブな神経堤細胞にHoxa2を異所性に発現させることを試みた。その結果、神経堤細胞の由来依存的に2種類の表現型が確認された。まず、菱脳由来の神経堤細胞について、第1咽頭弓由来の構造の第2咽頭弓へのホメオティック変異が確認された。具体的には、ツチ骨・キヌタ骨・鼓膜輪・偶骨などの第1咽頭弓由来の骨構造が欠失し、その位置に舌骨・茎状突起、アブミ骨などの第2咽頭弓由来の骨構造が現れた。また、マイクロアレイを用いて遺伝子発現も解析してCAG-flox-Hoxa2 ; Wntl : Creマウスの第1咽頭弓の遺伝子発現プロファイルが第2咽頭弓のものに変化していることを明らかにし、それをin situ hybridizationにより裏付けた。以上のことから神経堤細胞特異的なHoxa2の発現が第1咽頭弓の第2咽頭弓へのホメオティック変異に十分条件であることが明らかになった。このことはHoxa2の神経堤細胞特異的ノックアウトマウスの解析の結果(Santagati et al Development 2005)と合わせると、神経堤細胞におけるHoxa2が第2咽頭弓の位置情報の必要十分条件であることを示唆する。また、中脳由来の神経堤細胞においては構造の低形成が確認された。従来のHoxa2過剰発現実験においては一見して矛盾するような表現型が報告されてきたが、今回の研究の進展によって、それを統合的に整理して理解することが出来るようになったと言える。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

研究成果

• [雑誌論文] Mouse Hoxa2 mutations provide a model for microtia and auricle duplication. (2013)
  • 著者名/発表者名: Minoux M, Kratochwil CF, Ducret S, Amin S, Kitazawa T, Kurihara H, Bobola N, Vilain N, Rijli FM.
  • 雑誌名: Development 巻: 140 号: 21 ページ: 4386-4397
  • DOI: 10.1242/dev.098046
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Endothelin regulates neural crest deployment and fate to form great vessels through D1x5/D1x6-independent mechanisms. (2013)
  • 著者名/発表者名: Kim KS, Arima Y, Kitazawa T, Nishiyama K, Asai R, Uchijima Y, Sato T, Levi G, Kitanaka S, Igarashi T, Kurihara Y, Kurihara H.
  • 雑誌名: Mechanism of Development 巻: 130 号: 11-12 ページ: 553-566
  • DOI: 10.1016/j.mod.2013.07.005
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] Hoxa2 in neural crest cells re-patterns craniofacial structures : crosstalk with endotheline-D1x5/6 pathway (2013)
  • 著者名/発表者名: Taro Kitazawa, Kou Fujisawa, Yuichiro Arima, Yumiko Kawamura, Tsuyoshi Inoue, Youichiro Wada, Takahide Kohro, Hiroyuki Aburatani, Tatsuhiko Kodama, Ki-Sung Kim, Takahiro Sato, Yasunobu Uchijima, Nicolas Narboux-Néme, Maryline Minoux, Giovanni Levi, Filippo M. Rijli, Yukiko Kurihara and Hiroki Kurihara
  • 学会等名: 第46回日本発生生物学会
  • 発表場所: くにびきメッセ(島根県・松江)
• [学会発表] Development of the tympanic membrane and endothelin-D1x5/6 pathway : Comparative embryology between mammals and reptiles (2013)
  • 著者名/発表者名: Taro Kitazawa, Masaki Takechi, Hideaki Kume, Yukiko Kurihara, Sachiko Tomita, Shigeru Kuratani, Hiroki Kurihara
  • 学会等名: 第36回日本分子生物学会年会
  • 発表場所: 神戸ポートアイランド(兵庫県・神戸)
• [学会発表] Ectopic Hox gene expression in cranial neural crest cells results in abnormalcraniofacial development revealing a possible Hox/Dlx crosstalk (2012)
  • 著者名/発表者名: 北沢太郎
  • 学会等名: 第35回日本分子生物学会年会
  • 発表場所: 福岡国際会議場、マリンメッセ福岡(福岡)
  • 年月日: 2012-12-13
• [学会発表] Hox gene function and possible crosstalk with Dlx genes in craniofacialmorphogenesis (2012)
  • 著者名/発表者名: 北沢太郎
  • 学会等名: 第48回日本発生生物学会 第64回細胞生物学会 合同大会
  • 発表場所: 神戸国際センター(兵庫)
  • 年月日: 2012-05-30