研究課題/領域番号 |
12J04090
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牛久 晴香 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員DC2
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 国際市場 / 出品、手工芸品 / 経済制度と社会関係 / 埋め込みembeddedness / 地場産業 / 在来技術とその動態 / ガーナ / アフリカ農村経済 / ガーナ北東部 / 手工芸品・籠細工 / 生業と生産 |
研究概要 |
本研究は、ガーナ北東部の一部地域で生産され日本や欧米へ輸出される手工芸品「ボルガ・バスケット」を対象に、この産業に関わるガーナの人びとがグローバルな市場機会あるいはリスクにどのように対応しているのかを、生産と流通の両面から総合的に検討することを目的としている。 年度前半は、昨年度の研究成果をまとめ、製作技術に関する学会発表をおこなった。この地域独特の原料加工技術が未利用かつ大量の原料の「発見」に結びついたこと、また他類似品との差異化やデザインの多様化を可能にしていることを指摘し、在来の目立たない技術が国際市場への進出を根底で支えていると主張した。発表を通して、地域研究が十分に取り上げてこなかった商品化、市場、競争といったテーマを考える際にも、在来技術の詳細な分析が有効な視点を提示しうることを確認した。 年度後半は7ヶ月の現地調査をおこなった。主な目的は1)生産者の生計活動の中にバスケット製作を位置づけること、2)生産者から先進国の市場までがどのようなかたちでつながっているのかを、制度と実践に着目して実証的にあきらかにすることであった。1)について、生産者世帯5世帯の季節ごとの労働内容、その時間配分、各生計活動からの収入等について詳細な長期データを収集した。この調査から、バスケット製作は各世帯の日々の生計を大きく支えていることがわかり、同産業はこの村にとって重要な経済基盤となっていることが示唆された。2)については、産業に関わる各アクターの仕事内容やアクター間の関係を明らかにしたうえで、生産者―集荷者―企業間の取引をつぶさに観察し、彼らの柔軟な実践を十分に捉えることができた。本調査から、ボルガ・バスケットの流通制度および売買実践は農業を中心とする村の生活や社会関係、期待されるふるまいと不可分な関係にあることが分かり、理論的精緻化にむけた重要な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の長期現地調査によって、これまで明らかになっていなかった生産者の生計活動におけるバスケット製作の位置づけや、地元での売買の制度と実践に関する量的・質的なデータを収集することに成功し、今後の研究を飛躍させる十分な材料をそろえることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、この2年で得た知見をもとに、経路偶然性と必然化、生産流通制度・売買実践と社会的関係、在来技術とその動態などをキーワードとして、ガーナ北東部における地場産業の形成と発展の諸相を、総合的に分析する。また、来年度は文献研究に専念し、アフリカ農村と国際市場の関係性について事例の理論的精緻化を試みる。
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