研究課題/領域番号 |
12J04105
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平岡 紫陽 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Diels-Alder反応 / マンザミン / 閉環メタセシス |
研究概要 |
【マンザミンBの合成研究】 当研究室で既に行われていたマンザミンBの全合成研究について引き続き行った。基本骨格となるA,B,C,Dの4つの環のうち、不斉Diels-Alder反応により既に達成されているAB環の構築については、大量スケールでの合成を行い80グラムのAB環化合物を得た。11員環であるC環の構築には閉環メタセシスを用いることとし、それに必要な側鎖の導入を検討した。これまでは、その側鎖の導入の基点となる窒素原子上のアセチル保護基の脱保護がうまく進行しなかったが、より反応性の高いトリフルオロアセチル基へと変換する反応を見出し、脱保護と側鎖の導入に成功した。閉環メタセシスによるC環の構築は成功したものの、二量体の得られる割合が高かった。しかし、この二量体は開環メタセシスにより出発物質へと容易に変換できることから、原料回収を考慮して、C環を54%の収率で構築することに成功した。しかしながら、最後のD環を閉環メタセシスで構築したところ、望みのシスオレフィンが得られず、トランスオレフィンが単一の生成物として得られたことから、D環構築法の見直しが必要である。 【ロリジンEの合成研究】 ロリジンEの合成の鍵工程となる分子内ヘテロDiels-Alder反応の知見を得るため、当研究室の不斉Diels-Alder反応で合成したキラルな付加体をシクロヘキサジエンに変換してモデル基質とし、検討を行った。結果、ベンゾキノンやマレイミドとの分子間Diels-Alder反応や、ニトロソベンゼンとの分子間ヘテロDiels-Alder反応が容易に進行することを突き止め、またこれらの付加体をX線結晶構造解析により証明した。 また、もうひとつの鍵となる、当研究室の不斉Diels-Alder反応による四級炭素の構築については、3-メチルマレイミドを基質として用いることで四級炭素の構築に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マンザミンBのD環構築は、当研究室のマンザミンAの全合成の知見から容易に達成できると見込んでいたが、全く目的物が得られない結果となり、合成計画の見直しが必要となった。これにより、年度半ばまでには終了予定であったマンザミンBの合成が現在も達成できない状態であり、ロリジンEの合成研究も遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
マンザミンBの合成を早急に達成するために、D環構築の別法を検討し、また原料合成の効率の改善を行うことが必要である。D環については、シスオレフィンを選択的に得る閉環メタセシス触媒の使用や、アルキンメタセシスの適用を検討する。また閉環メタセシス以外にもマクロラクタム化などの手法が考えられる。原料合成については、これまではRawalらによって開発された不斉Diels-Alder反応を用いAB環構築を行っていたが、本反応はその再現性や触媒量などに改善の余地を残しているため、当研究室の不斉Diels-Alder反応を適用し改善を試みる。
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