研究課題/領域番号 |
12J04189
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物機能・バイオプロセス
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野田 修平 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2012年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | バイオマス / 芳香族化合物 / セルロース / デンプン / 酵素 / 放線菌 / タンパク質分泌 |
研究概要 |
近年、化石資源の枯渇・地球温暖化等の環境問題が顕在化している。温室効果ガスの削減、持続可能な社会形成のため、石油依存社会から、エネルギーや化成品を再生可能なバイオマス資源に依存したバイオリファイナリー社会への変革が求められている。特に、芳香族系の化成品原料生産は、その生合成経路が複雑であること、また酵母や大腸菌等の微生物にとって毒性を示すため、バイオプロセスに置き換えるのが困難であり、石油資源からの生産に完全に依存している。本研究では、既存化成品原料生産のケミカルプロセスからバイオプロセスへの変換を目指した。本研究においては、放線菌Atreptomyces属に注目し、バイオマス資源からの芳香族化合物生産、バイオマス資源からの高効率な物質生産のための基盤の開発を行った。 放線菌Streptomyces maritimusの2次代謝経路の一部を利用することにより、微生物を用いて初めて安息香酸の生産に成功した。3%デンプンから最大で460mg/Lの安息香酸生産に成功した。また、セルロースからの安息香酸生産を目指し、木質系バイオマス糖化酵素の一種であるエンドグルカナーゼ導入株を創製した。創製した株を用い、1%セルロースから最大で120mg/Lの安息香酸生産に成功した。本研究における報告は、微生物発酵によるバイオマス資源からの芳香族化合物生産に関する初めての報告であり、その収率もグルコースを用いた他の微生物による他の芳香族化合物生産における報告に匹敵するものである。しかしながら、セルロースからの安息香酸収率は、同仕込み量のグルコースの場合と比較して不十分であった。そこでバイオマス糖化効率を高めるためにバイオマス糖化酵素生産量の増強を検討し、バイオマス糖化酵素分泌生産量を10倍に向上させることに成功した。 以上より、セルロース資化性安息香酸生産菌とバイオマス糖化酵素大量生産技術を組み合わせることにより、セルロースから効率的に芳香族化合物を生産可能な技術の確立が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放線菌2次代謝経路を利用することにより、微生物を用いて初めて汎用的な化成品原料である安息香酸の生産に成功した。また、セルラーゼ分泌能力の付与によりセルロースからの安息香酸の生産にも成功した。今後、本年度培われた技術を基盤とし、芳香族化合物生産経路の再構築を検討することにより、様々な芳香族化合物をバイオマス資源から生産可能な放線菌セルファクトリーの構築が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
放線菌を用いたバイオマス資源からの芳香族化合物生産の一例として、安息香酸の生産に成功した。様々な芳香族化合物生産のため、今後、様々な放線菌の二次代謝経路から芳香族化合物修飾酵素を単離してくる必要がある。そして、これまでに生産に成功した安息香酸というシンプルな構造の化合物を出発化合物とすることにより、単離した修飾酵素遺伝子を用いて新規芳香族化合物合成経路の設計を行っていく必要がある。
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