研究課題
特別研究員奨励費
乾燥地生態系では、土壌の窒素可給性が水分に次いで植物生産の主な制限要因となる。そのため、侵入植物の窒素利用の解明が乾燥地における侵入種の分布拡大メカニズムの理解に重要な意味をもつ。本研究では、アメリカ乾燥地の侵入樹種Tamarix ramosissima林の土壌の窒素循環および窒素利用効率を調査することで、 侵入樹種T. ramosissimaの窒素利用を明らかにすることを目的とする。平成25年度までに、米国ネバダ州バージン川下流域のT. ramosissima林における季節的な土壌の環境要因、無機態窒素現存量、及び純窒素循環速度の計測、並びに葉の窒素濃度、炭素および窒素安定同位体比の測定を行ってきた。またユタ州、アリゾナ州、ネバダ州、及びカリフォルニア州を流れるバージン川およびコロラド川下流域の13地点の林分で土壌の環境要因、無機態窒素現存量、及び純窒素循環速度の調査を行った。平成26年度には、T. ramosissima林の土壌から抽出したDNAを用いて、アンモニア酸化細菌および古細菌のコピー数の計測ならびに群集構造解析を行った。アンモニア酸化細菌のコピー数と純硝化速度との間には正の相関関係が認められた。一方、アンモニア酸化古細菌と硝化速度には有意な関係は認められなかった。これらの結果より、T. ramosissima林の硝化の過程にはアンモニア酸化細菌が関与していることが示唆された。T. ramosissima林の土壌にはBacteroidetes、Proteobacteria、及びActeinobacteriaが多く存在した。また土壌塩類濃度およびpHの上昇に伴い、Bacteroidetesの割合が増加、及びActeinobacteriaの割合が減少する傾向が認められた。硝化に関連する微生物に関しては、土壌塩類濃度およびpHの上昇に伴う細菌の割合の減少および古細菌の割合の増加傾向が認められた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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