研究課題/領域番号 |
12J04701
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
上沖 正欣 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2012 – 2013
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 音声コミュニケーション / さえずり / 音声誘引 / 同種誘引 / 帰還率 / ヤブサメ / 概日リズム / 繁殖生態 / 行動生態学 / 親子判定 |
研究概要 |
夜行性の鳥と違って昼行性の鳥類は普通昼間活動してさえずったりするが、いくつかの種は夜もさえずることが知られている。なぜ彼らは夜もさえずるのか、その生態的意義を明らかにするため、特にヤブサメUrosphena squameicepsにみられる特徴的な夜間さえずりに注目して研究をおこなった。 ヤブサメはウグイスの仲間の日本で最も小さな鳥の一つで、夏鳥として日本で繁殖する。ヤブサメの夜間さえずりは非常に変わっており、数時間から長い時は8時間近く休まずさえずり続ける。この行動は繁殖地に渡来後2週間ほどのごく短期間にのみおこなわれており、越冬地から繁殖地へ渡ってくる同種、特に雌を誘引している可能性があることがこれまでの研究から示されていた。 当該年度中においては、繁殖個体群の遺伝解析・地域間比較・外的要因との関連から夜間さえずりの意義について検討した。ヤブサメの遺伝子マーカーを開発し、遺伝的に個体間の距離を調べたところ、個体間の距離は近くなかった。また、過去24年間の標識記録をまとめたところ、同じ繁殖地に帰ってくる確率は8%弱と他種と比較して低かった。これらのことから、ヤブサメの夜間さえずりが地域個体群の認識に寄与している可能性は低いことが示唆された。また、地域間・年毎でも夜間さえずりの行動に違いがあり、地形や経度などに影響されている可能性が示唆された。気象条件など外的要因との関連を解析したところ、渡来のピークと満月が重なる年ほど夜間さえずりが盛んになるという、月齢との関連が示唆された。 本研究により、夜間さえずりは年・地域・光量など様々な条件に影響されることが示された。普通さえずりは縄張り防衛や雌の獲得といった機能を持ち、毎年どの地域でも同じような傾向を示すものであるが、ヤブサメの夜間さえずりのようなものは他に知られておらず、新しい発見である。
|
今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
|