研究課題
特別研究員奨励費
誤差項に系列相関があるモデルにおいて構造変化の検定を行う際には、誤差項の長期分散を推定する必要がある。長期分散を帰無仮説(構造変化が無いという仮説)の下で推定した場合、対立仮説(構造変化が有るという仮説)の下で長期分散が過大推定されるため、検出力が非単調になることが知られている。一方、長期分散を対立仮説の下で推定した場合、帰無仮説の下で長期分散が過小推定されるため、検定のサイズが歪むという問題がある。そこで、今年度には上述の問題に対処するために、以下の研究を行った。(1) Kejriwal(2009)の方法の修正Kejriwal(2009)は、上述の問題点に対する解決策として、帰無仮説と対立仮説の両方の下での残差を用いて長期分散を推定し、検定の有限標本特性を改善することを提案した。しかし、この方法では誤差項に強い系列相関がある場合に、検出力が著しく低下してしまうという問題がある。そこで本研究では、Kejriwal(2009)の手法を修正することにより、系列相関が強い状況においても高い検出力を持つ検定方法を提案した。シミュレーションを行った結果、本研究で提案した手法の有用性を確認することができた。(2) 長期分散推定量のバイアス修正検定のサイズの歪みの問題に対処するために、対立仮説の下で推定された長期分散推定量のバイアスを導出し、バイアス修正の方法を提案した。また、シミュレーションを行い、本研究で提案した検定の有限標本特性を調べた。この結果、検定のサイズに関しては、バイアス修正を行わない検定と比べて大幅に改善されていることが分かった。また、検出力に関しても、本研究で提案した検定は、既存の検定と比べてサイズ調整済み検出力が高くなっていた。以上より、本研究で提案した手法は、サイズと検出力の両面から見て、優れた有限標本特性を持っていることが分かった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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