研究課題/領域番号 |
12J05145
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川澄 克光 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | C-H カップリング / ナノグラフェン / C-H活性化 |
研究概要 |
多環芳香族炭化水素(PAH)はsp2混成炭素からのみ構成され、ヘテロ元素や置換基をもたない縮環した芳香族化合物の総称である。これらの化合物は20世紀はじめから有機化学の興味の対象とされており、近年、有機ELや有機薄膜トランジスタといったデバイスへの応用が期待されている。加えて、カーボンナノチューブやグラフェンといったナノカーボンの精密ボトムアップ合成の潜在的な前駆体としても期待されている。したがって、様々なサイズや形状の拡張PAHの効率的な合成法に対する需要は大きい。 これまでの研究で、酢酸パラジウム/オルトクロラニル触媒存在下でPAHとアリールボロン酸やアリールケイ素を反応させることで、PAHの直接アリール化反応が効率良く進行することを見出した。さらに、この直接アリール化反応と分子内脱水素環化反応(Scholl)反応を連続的に行うことでPAHを2段階でπ-シート拡張もできる。本年度の研究ではこれまでに開発した直接アリール化反応に基づいたπ-シート拡張方法を応用し、幅とエッジが制御されたグラフェンナノリボンの精密ボトムアップ合成に取組んだ。具体的には、ピレンとビァリールジシラン1を酢酸パラジウム/オルトクロラニル触媒存在化で反応させてフェニレンポリマーを合成し、これを分子内脱水素環化反応でシート化してグラフェンナノリボンを得る計画であった(eq-1)。ところが、実際にはフェニレンポリマーの生成は確認できず、2回の直接アリール化反応からなる環化反応が起き、形式的に1段階でのπ-シート拡張反応の進行を確認した。この発見をもとに種々の触媒やπ拡張ユニットを検討し、1段階πシート拡張反応を反応条件の最適化を試みた。その結果、カチオン性Pd錯体を触媒前駆体に、π拡張ユニットにはシロールを用いるのが最適だと分かった、さらに、適切なπ拡張ユニットを用いる事でグラフェンナノリボン状のポリマーが生成することも確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの成果を基にグラフェンナノリボンの精密ボトムアップ合成に挑戦し、その家庭で従来のPAHの直接アリール化反応よりも遥かに効率の良い方法の発見に至った。また、新たに発見した方法を用いて、実際にグラフェンナノリボンの合成示唆する結果が得られており、期待以上の進展があったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
実際に開発した新反応を用いてグラフェンナノリボンの生成を確認することができた。しかしながら、生成したグラフェンナノリボンはサイズが小さく、生成効率(収率)も高くないためデバイス等への応用を試みるためにはまだまだ改善の余地が残る。これらの問題点を解決するためには触媒の改良が不可欠だと考えられる。 一方で、これまでに開発した反応は小分子、分子ナノグラフェンの合成には充分な性能を持っている。開発した反応を用いて、ポリマー状のナノリボンだけではなく、新奇な分子状ナノグラフェンの効率的な合成も期待できる。
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