研究概要 |
粒子と量子場が相互作用する系をスペクトル解析を用いて研究しました。廣島文生先生と共同で準相対論的なパウリ-フィールツ模型を扱いました。ある条件の下で、ハミルトニアンが自己共役であることの証明とハミルトニアンの本質的スペクトルを求めました。特に、基底状態が存在することを証明しました。基底状態の存在は、M. Konenberg, O. Matte, E. Stockmeyerによって既に証明されておりますが、私たちの研究は、粒子の静止質量がゼロの場合も含めています。この点にオリジナリティがあります。さらに、廣島文生先生の結果と併せると基底状態が一意的であり指数関数的に減衰することも分かります。M. Konenberg, O. Matte, E, Stockmeyerはクーロンポテンシャルの場合を扱っておりますが、このポテンシャルの場合において基底状態の存在は未だ示せていません。また、私たちの場合はボソンに仮想的な質量を入れています。ボソンに質量が無い場合の基底状態の存在証明は、仮想的な質量がある場合の基底状態を利用するのが定石となっています。つまり、質量がある場合の基底状態の極限をとることで証明されます。したがって、ボソンに質量を仮定していても今後に繋がる結果であり意味があります。準相対論的なパウリ-フィールツ模型における基底状態の存在証明は、研究集会やセミナーで積極的に発表してまいりました。さらに、自己共役性の証明と基底状態の存在証明をそれぞれ論文として現在投稿中です。
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