研究課題/領域番号 |
12J05226
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
哲学・倫理学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村上 暁子 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2012 – 2013
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2013年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2012年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | レヴィナス / ヒューマニズム / 宗教と倫理 / 20世紀思想史 / フランス現代思想 / キリスト教とユダヤ教 / 主体性論 / 意味論 / 意味・時間・主体性 / 実存主義・人格主義 |
研究概要 |
本研究は、新たな仕方で人間性の回復を目指したレヴィナスの企てを倫理学的観点から評価する試みである。各人のうちなる人格や理性に依拠するヒューマニズムとは異なり、レヴィナスが提唱した「他なる人間の人間主義」は、他人たちへと応答する倫理的関係のうちで責任主体としての「人間なるもの」が誕生すると主張するものである。この思想の形成過程を解明すべく、本研究では彼の主要著作『全体性と無限』と『存在の彼方へ』のあいだの時期に深められた論点(1. 意味論の深化 : 新たな鍵概念導入に伴う人間関係を記述する枠組みの変化2. ユダヤ思想とキリスト教思想の継承と再解釈 : 「人間なるもの」が「身代わり」の主体性として規定される経緯3. 同時代の思想潮流への眼差し : 構造主義優位の時代における「人間主義」の課題の明確化)に着目して、一貫して研究を行ってきた。 この研究計画に従い、本年度は引き続き研究指導委託制度を用いてフランスのパリカトリック学院にて在外研究を行い、当地で稀少資料や最新の文献の入手に努めたほか、各国の研究者と交流を深めるなかで、1. レヴィナスの「人間主義」を時代背景のうちに位置づけ、他のヒューマニズム再興の試みと比較してその問題意識の独自性を示す発表2. 彼の「人間なるもの」の観念が「神のかたどり」というユダヤ的概念のカバラ的再解釈であり、聖書解釈の伝統を引き継いでいることを指摘する発表3. 飢え、苦しみ、祈る魂という観点からのレヴィナスの感受性および身体性理解の特異性についての発表4. 「人間主義」思想の形成過程におけるキリスト教思想との緊張関係についての発表の論文化を行った。時代的背景や他の思想家との影響関係に関する調査を含む以上の研究により、他人との倫理的関係と神との宗教的関係の結びつきに着目するレヴィナスの発想の独自性に光を当て、それを倫理学に対する一つの問題提起として受け止めることの意義を指摘することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
|