研究課題
特別研究員奨励費
3年目の計画は2年目までに開発した宇宙磁場断層解析法を、これまでの単純銀河モデルよりも現実的な銀河モデルへ適用し、銀河モデルの再現性を見積もることであった。2年目までに使用してきた単純銀河モデルは、一様分布している自由電子/相対論的電子と一様磁場しか考えてこなかったが、今回は電子分布にはガウス関数型分布関数を仮定し、磁場成分は一様磁場に加え、乱流磁場の効果も考慮に入れた。その結果、宇宙磁場断層解析法によって得られるファラデー分散関数と呼ばれる関数が、従来の単純銀河モデルから見積もられたものと比べ、極めて複雑な構造を持つことが新たにわかった。また、ファラデー分散関数の分散、歪度、尖度などの統計量から、銀河磁場強度や電子分布幅などの重要な物理量を推定できる可能性も示された。さらにこれらの重要な物理量を、将来の観測計画であるSquare Kilometer Array (SKA)を用いてどの程度の精度で見積もれるかを調査した。その結果、分散以外の統計量は理想的な状況とほぼ同程度の信頼度で見積もることができることがわかった。また、宇宙磁場断層解析法を応用した銀河間磁場測定手法を考案し、この手法で検出可能な銀河間磁場強度を様々な電波望遠鏡を想定して調査した。その結果、SKA先行機と呼ばれる望遠鏡を用いれば、数μG程度の宇宙磁場にまで感度があることを見積もった。この強度は銀河・銀河団磁場を測定するのに十分な感度である。また、SKA先行機の組み合わせ及び、SKAを用いれば、数nGという感度にまで到達することを示した。この強度は未だ測定されていないフィラメントと呼ばれる構造に付随する磁場を測定できる可能性を示唆している。これらの研究成果はいくつかの論文にまとめられ、すでに出版されている。また、この3年間で進めてきた研究を学位論文としてまとめ、SKAグループに対しても提言を行っている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (11件)
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