研究課題
特別研究員奨励費
「褒められる」ことが動機づけを増大させ運動成績の促進に寄与することは以前から知られていたが、運動技能の定着というより直接的プロセスを介して成績改善に寄与するかについては検討されてこなかった。これまでの研究で、「褒められる」ことが運動スキルの定着を促進することで成績改善に寄与することが明らかとなった。この成果は海外学術誌に掲載され、国内外から多くの反響を得た。この非常に関心の高いトピックを実践現場へと応用する為には、①なぜ促進されるのかという機序を明瞭にすること、②応用可能な範囲を検討することが不可避である。本年度は、特に「褒め」によう促進効果の神経機序を明らかとするために、2つの実験を実施した。1つ目の実験では、「褒め」が作用すると考えられる睡眠依存的な技能定着に関する神経基盤について機能的磁気共鳴画像法による検討を行った。結果として、睡眠依存的な技能定着が線条体を含む運動ネットワークが変化することにより媒介される事が明らかとなった。「褒められる」際に脳内の報酬関連領域である腹側線条体を活動するという事実から、脳の深部に存在する線条体での活動を修飾することにより「褒め」は技能定着の促進を引き起こすという神経科学的機構を支持する新たな証拠といえる。2つ目の実験として、運動学習の直後に「褒められる」時の神経活動と技能定着の関係について検討している。本実験はまだ実施中であるが、予備的解析ではこれまでの行動実験と同様に、「褒め」が運動技能の定着を促進する事が示されている。さらに、「褒められている」際に脳内の報酬関連領域が活動することも確認されている。この実験の完了により、社会的報酬と技能定着を結ぶ神経機構の一端が明らかとなることが期待される。
(抄録なし)
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PLoS ONE
巻: 8(6) 号: 6 ページ: e66998-e66998
10.1371/journal.pone.0066998
巻: 7(11) 号: 11 ページ: e48174-e48174
10.1371/journal.pone.0048174