研究課題/領域番号 |
12J05455
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
印度哲学・仏教学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
斉藤 茜 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | インド哲学 / サンスクリット / マンダナミシュラ / スポータ / 言語哲学 / 言語論 / スポータ理論 |
研究概要 |
報告者の研究の主題は、中世インドの哲学者であり文法学者であるマンダナミシュラによる、言葉の本質を扱った作品『スポータの論証』の全訳・校訂の作業を行うことであり、この内容は今年度提出予定の博士論文のメインテーマとなっている。この作品はインド古典から中世の、言語理論のひとつスホータ理論を確立した作品であり、文法学派の言語哲学を知る上で欠かせない資料であるが、マンダナミシュラ自体がサンスクリット研究史の中で調査が抜け落ちている状態が長く続いていた。このため申請者はこの状況を打道すべく、彼の諸作品の思想の解明を目指してこれまで研究を行ってきた。25年度は多くの時間をハンブルク大学での研究遂行に割いた。ハンブルクでの研究期間中は、『スポークの論証』後半部に収められている経量部の音素無常論を抽出して扱い、法称の『量評釈』より引用された言語理論がマンダナ言語理論とどのような点で異なるのかを探った。この成果は、ドイツのボッフムで10月に行われたIntemational Indology Graduate Research Symposium (IIGRS)にて発表し、多くのヨーロッパのインド学者から好評を得た。同内容はオックスフォードから出版されるインド学の雑誌に掲載されることが決定している。同時にマンダナの後期の著作『ブラフマンの立証』における語ブラフマン理論とスポータ理論の相関点を探った。また7月にはオランダのライデンサマースクールに参加し、サンスクリットの集中的読解を行うとともに、現地のインド学を学ぶ学生たちとの交流を図った。今年の1月よりオックスフォードへの留学が認められたため、1月で特別研究員を辞退したが、それまでの期間に多くのことを京都及びハンブルクで学ぶことができた。現在は博士論文執筆に集中しているが、この間に学んだ全てを何らかの形で反映させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハンブルグでの一年間の研究で自身の研究の不足箇所を多く発見できたのは収穫であったが、同時に現地の指導教官と相談した結果、殊文献学の研究分野において、博論を三年で完成させることは、満足いく内容にするためには望ましくないという結論に達した。当初の予定では三年目で博論を提出する予定であったが、現在は四年での完成を目指して執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度中に博士論文を完成できなかったので、平成26年度は博士論文執筆に集中しマンダナミシュラの『スポータの論証』研究を完成させる予定である。夏8月に北海道にて開催される国際サンスクリット合宿に参加及び発表予定であり、8月にドイツはハイデルベルクで行われる第五回ダルマキールティ学会における発表申込みが受理された。これらの学会発表を基に博論を充実させ、特に昨年度不十分であった仏教徒側からの文法学派言語論への批判を網羅的に取り扱う。
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