研究概要 |
本年度は、これまでの研究成果をまとめ、国際学会、および国内学会で積極的に発表を行うとともに、学会誌への投稿、および学位論文の執筆を行った。また、さらなる調査フィールドを獲得するために、企業や研究者とのコネクション構築に務めた。今年度中の調査の実施はかなわなかったものの、新たな調査協力予定企業とのつながりをつくることができ、今後の研究活動の発展を促すような成果を得られた。 研究発表に関しては、国際学会、国内学会において積極的に行った。レジリエンスの概念に対して、近年特に注目が集まっているため、様々な領域の研究者に興味を持ってもらえ、特に東日本大震災で被災した組織を対象としていることに関心を持たれる機会が多かった。さらに, これまでの研究成果を学位論文にまとめ、学位を取得した。助成を受け、東北で調査を実施することができたために、レジリエンス研究に対する意義ある示唆を与えることができ、学位取得に繋がった。 また、共同研究として、大学生サークルを対象とした調査を行い、共有メンタルモデルがチームパフォーマンスに与える影響について検討を行った。共有メンタルモデルは、チームがチームワークを発揮するために重要となる要因である。メンバーがメンタルモデルを共有していることによって、明示的なコミュニケーションを必ずしも介する必要なく、暗黙のうちに調整を行うことが可能になる。そのため、明示的コミュニケーションが充分に行えないような緊急時においても、いかにチームがチームワークを発揮できるかは、日頃から、メンバー間でいかにメンタルモデルを共有できているかに影響を受けるだろう。そして、緊急時におけるチームワークの発揮は、チームのレジリエンスの発揮に大きく影響を及ぼす。そのため、共有メンタルモデルはレジリエンスの発揮に対しても重要となる要因であり, この共同研究において得られた研究知見は, レジリエンス研究に対して重要な示唆を与えるものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は, 東日本大震災で被災した組織を対象に, さらなる調査を進めるために, 調査協力組織を数社獲得し, 調査を実施する予定であった。しかし, 本年度中の調査実施はかなわず, 今後の課題として持ち越すことになった。ただし, これまでに得られた研究成果については, 国際学会, 国内学会において積極的に発表を行うとともに, 学術論文の投稿, および学位論文の執筆を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は, 引き続きレジリエンスについてさらなる検討を行う予定である。具体的には, これまでの研究においては組織レベル, チームレベル, 個人レベルのレジリエンスについて, それぞれ独立的に検討を行うことに留まっている。しかし, レベル間の相互作用, 相互影響の存在は明らかであり, それを明らかにすることで, レジリエンスの包括的理解が可能になると考える。そこで, 今後は, 様々な職場や職種における調査を実施し, レベル間の相互影響過程を考慮しながら, 職場におけるレジリエンスの包括的理解を目指す。
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