本研究は、アスリート女性の骨粗霧症予防の栄養生理学的研究を研究課題のもとに実施された。これまでに我々は、自発運動及びエネルギー制限負荷が雌ラット大腿骨、骨密度へ及ぼす影響の検討を行った結果、12週間で骨密度低下を誘導することに成功している。また、同時にエストロゲンレベルもコントロール群と比較して低値を示した。そこで、平成23-24年度は、これまでに確立した自発運動及びエネルギー制限誘発性、骨粗霧症モデル動物を用い、エストロゲンの代替成分として注目を浴びている大豆イソフラボンの効果を評価した。その結果、大腿骨骨密度は、自発運動及びエネルギー制限負荷群がコントロール群と比較して有意に低値を示したが、大豆イソフラボン摂取群はコントロール群と差は認められなかった。このことから、大豆イソフラボン摂取は、自発運動及びエネルギー制限誘発性、骨密度低下を緩和したことが明らかとなった。さらに、自発運動及びエネルギー制限負荷群と大豆イソフラボン添加食群のエストロゲン濃度がコントロール群と比較して低値を示したことから、低エストロゲンレベル時に大豆イソフラボンの効果が有効であることが示された。 上記の結果は、アスリート女性の骨粗霧症が運動とエネルギーの摂取不足、及びエストロゲンレベルの低下が主な要因となって発症することを示す為、体育、スポーツ科学の現場と一致した見解が得られ、大変意義深い。また、自発運動及びエネルギー制限誘発性骨粗霧症モデル動物に対し、大豆イソフラボンの効果が示されたことから、アスリート女性の骨粗霧症におけるイソフラボンの効果が期待される。 また、平成24年度は得られた結果を発信するため、研究結果の論文を執筆しThe Journal of Physical Fitness and Sports Medicineに掲載された。
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