研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、ダイオキシン受容体AhRとM2型のピルビン酸キナーゼの相互作用の意義及びその分子メカニズムの解明を目的としている。平成25年度の研究により、①PKM2の一部がAhRリガンド依存的にAhRと共に細胞質から核内に移行すること、②PKM2の酵素活性はAhRの標的遺伝子プロモーターでのヒストンアセチル化を促進すること、③ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC)の酵素活性が核内に存在すること、④PDCのサブユニットPDC-E2がAhRリガンド依存的にCYPIA1プロモーターに呼び寄せられることを明らかにした。以上の結果より、PKM2はAhRの活性化補助因子であることが明らかになった。また近年、核内のクロマチン代謝における、代謝物の「地産地消」システムの重要性が明らかになりつつある。本研究は、PKM2及びPDCがアセチルCoAの「地産地消」システムの実体であり、ヒストンアセチル化の基質となるアセチルCoAを遺伝子のプロモーター領域で局所的に産生することで、遺伝子の発現を制御することを見出した。さらに、PKM2はがんや胎児の細胞で高発現することが知られていることから、がんや胎児のように活発に増殖する細胞ではAhRを介した解毒機構が充進していることを示唆している。一方、AhRを介した解毒機構はダイオキシンに効かず、逆にダイオキシンの毒性作用を仲介してしまう。ダイオキシンの毒性研究で長らく謎であった、ダイオキシンの毒性が大人より胎児で強く現れる理由は、胎児で高発現するPKM2がAhRの解毒機構を充進しているためなのかも知れない。
(抄録なし)
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