研究課題
特別研究員奨励費
私たちはペルオキシソームの細胞内局在に着目し、野生株とは異なった局在を示す変異株の選抜を行ってきた。そして、peup1 (peroxisome unusualpositioning 1)と名付けた変異株の解析を通して、オートファジーという細胞内の分解系が植物においてはペルオキシソームの品質管理機構として機能しているという仮説を立てた。当該年度では、オートファゴソームマーカーであるATG8と蛍光タンパク質mCherryと融合させたコンストラクトを作成し、それをペルオキシソーム可視化植物体GFP-PTS1株に導入することでオートファゴソームとペルオキシソームとを同時に観察することに成功した。そして、オートファジーが酸化的になったペルオキシソームに対して選択的に機能することを見出した。これらの結果は、酸化的、すなわち機能が低下したペルオキシソームのみがオートファジーによって細胞内から除去されていることを示している。つまり、オートファジーがペルオキシソームの品質管理機構として機能していることを示唆している。これらの成果は、本研究最大の目的であった「オートファジーによるペルオキシソーム分解は異常なペルオキシソームに対して特異的であるか?」という問いに直接的に答えを示すものである。さらにこの成果は、シロイヌナズナにおいてペルオキシソームがオートファジーによって分解されていることを具体的に示した初めての例である上に、酸化還元状態を指標としてオートファジーによる分解が選択的であることを示した点は、「どのような機構によって異常なペルオキシソームが選択されているのか?」というより上位の問題解決の糸口となるものである。
2: おおむね順調に進展している
研究方法は当初予定していたものと変更はあったが、当初に設定した「オートファジーによりペルオキシソームの品質がどのように管理されているのか」という問題に対して明確な回答を示すことができたため。
(抄録なし)
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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