研究課題/領域番号 |
12J06003
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
高分子化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日比 裕理 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ラジカル重合 / 配列制御 / 鋳型 / 近接効果 / 直交性 / 切断基 / 二足歩行 / ラジカル付加 / テンプレート / ラジカル配列制御重合 |
研究概要 |
タンパク質に代表される生体高分子は、分子量やモノマー配列が完全に制御されており、これらが機能発現の最重要因子となっている。一方、合成高分子においては、精密重合の開発により分子量や末端構造の制御は可能になりつつあるが、モノマー配列制御を実現した例はほとんどない。配列制御重合は新しい機能発現の面で興味深いが、その制御原理すら確立されておらず、挑戦的課題の一つである。 タンパク質に代表される生体高分子は、分子量やモノマー配列が完全に制御されており、これらが機能発現の最重要因子となっている。一方、合成高分子においては、精密重合の開発により分子量や末端構造の制御は可能になりつつあるが、モノマー配列制御を実現した例はほとんどない。配列制御重合は新しい機能発現の面で興味深いが、その制御原理すら確立されておらず、挑戦的課題の一つである。 最近我々は、異種のラジカル重合性モノマーをテンプレート(鋳型)上に導入した「テンプレート・モノマー」を精密設計し、鋳型上の配列をポリマーに転写することにより、特定繰り返し配列への制御を可能にした。これらは、鋳型転写により配列を制御した初めての例と言えるが、制御可能な配列や、導入可能な側鎖官能基が限定されるという問題があった。 以上の背景をふまえ、今年度は、昨年度から検討している「ビニルポリマーに対して多様な側鎖官能基を任意に配列制御できるシステム」の開発を行った。ここで、生長末端に対して、モノマー一分子の付加(一分子付加)を制御し、これを繰り返すことができれば、任意配列の制御に直結するが、本質的に連鎖反応であるラジカル重合においては、その実現は困難であり、たとえリビングラジカル重合を用いても、オリゴマー化(多分子付加)を抑制することはできない。本研究では、ラジカル生長に伴い、「歩行」する鋳型を新規に設計し、鋳型の近接効果で生長ラジカルから次に重合されるモノマーの一分子付加を制御しつつ、これを繰り返すために二種類の「切断できて再生できる結合」を導入した「二足歩行型鋳型」を設計し、問題解決を図った。なお, 切断・再生に関して, 直交性(お互いを干渉しない)を有していることが本コンセプトの実現において重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、「切断できて再生できる結合」として、N-ヒドロキシスクシンイミドエステノレと 2-メルカプトピリジン系ジスルフィドを導入した鋳型分子を構築し、これを用いてラジカルー分子付加の制御を実現した。さらに連纏的に一分子付加を繰り返すために、続いて鋳型のリンカー切断、再生を経て、初期と同様の構造を再生し、再度ラジカル付加を行うことに成功した。この付加、切断、再生の3ステップ1サイクルを2回以上まわし、鋳型が実際に歩行可能であることが確認され、おおむね順調に進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で、二足歩行型鋳型を用いることで、モノマーの一分子付加・リンカーの切断・リンカーの再生の3ステップ1サイクルを繰り返すことにより、ビニルポリマーの配列制御が可能であることが示唆された。しかし、実際にこのサイクルを何回も繰り返すには、ステッケごとに煩雑な精製操作を行う必要があり、現実的ではない。そこで、ペプチド固相重合を倣い、樹脂などへの担持により精製操作の簡便化を図り、容易にこのサイクルをまわせるようにする必要がある。
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