研究課題
特別研究員奨励費
本年度は,最終年度とあり,データの解析と博士論文の執筆に注力した。マサキタマバエの系では,早期型の寄生蜂であるPlatygaster sp.(ハラビクロバチ科)の寄生戦略に着目して研究を進めた。まず,Platygaster sp.は,寄生した寄主のてゴール形成能力を操作して、ゴール組織を肥厚化させ,晩期型の寄生蜂からの高次寄生を回避していることをまとめた論文が出版された(Fujii et al., 2014)。そして、Platygaster sp.について,単寄生と多寄生性の両方があることがわかった。多寄生による体サイズの小型化などのデータが得られた。今後、詳細なデータを採る予定である。イヌツゲタマバエの系では,標高勾配に伴う環境変化がゴールの形質と寄生蜂群集に与える影響に着目して研究を進めた。イヌツゲタマバエのゴールのサイズと幼虫室数が標高が高くになるにつれて小さくなることがわかった。これは,標高の高い地点における寒冷な気候が,タマバエのゴール形成能力もしくは腋芽内の産卵数に影響を与えていると考えられた。本研究では,先行研究で知られていた寄生蜂4種に加えて,新たに3種の寄生蜂がイヌツゲタマバエを寄主としていることがわかった。そして,イヌツゲタマバエの寄生蜂群集は,標高が上がるにつれて,晩期型の寄生蜂の種構成が4種から1種へと減少すること,寄生率が高標高の地点で低くなることがわかった。さらに,標高600mより上では,晩期型の寄生が確認されなかった。早期型のInostemma sp.の寄生率は,標高による影響を受けていなかった。高標高の地点においては,晩期型の寄生蜂などが利用する寄主タマバエの種数が少なくいため生活史を完結できないと可能性がある。それに加えて,寒冷な気候が晩期型の寄生蜂の秋以降の寄主探索や産卵行動に影響を与える可能性もある。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件)
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