研究課題
特別研究員奨励費
昨年度までにラットSONニューロンに発現する浸透圧受容器のうち少なくとも一部は全長TRPV1によって構成されていることを明らかにした。しかし、浸透圧受容器と報告されているホモ4量体のTRPV1では逆転電位の値などいくつか性質が異なることが分かっている。今年度に実施した実験の中でラットSONでエクソンの1-5番目を欠く新しいTRPV1スプライスバリアントを発見し、この分子をTRPV1_SONと名付けた。TRPV1は4量体で一つのチャネルを形成し、他の分子とヘテロ4量体を形成しうること、そしてヘテロ4量体分子はCapsaicinに対する応答が減弱する等ホモ4量体TRPV1が示す性質が変化することが報告されている。我々はラットSONに発現する浸透圧受容器は全長TRPV1とTRPV1_SONのヘテロ4量体で構成されているという仮説を立てた。これを検証するために全長TRPV1、TRPV1_SON、TRPV1とTRPV1_SONを接続した遺伝子をそれぞれ組み込んだベクターを作成し、それぞれのベクターを導入した細胞の浸透圧応答を調べることを検討している。これまで全長TRPV1、TRPV1_SONベクターを作成した。全長TRPV1発現細胞にCapsaicinを適用するとほぼ全ての細胞で応答が見られた。応答が見られた細胞のうち約20%の細胞は高浸透圧刺激にも応答したが、繰り返しの高浸透圧刺激には応答しなかった。TRPV1_SON発現細胞ではcapsaicinおよび高浸透圧刺激に応答しなかった。以上の結果からTRPV1のみ、TRPV1_SONのみを強制発現した細胞ではいずれもラットSONニューロンで見られた性質を再現することが出来なかった。このため、ラットSONニューロンに発現する浸透圧受容器はそれぞれの分子のみで構成されている分子ではないことが考えられた。
本研究課題は平成26年度が最終年度のため、記入しない。
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