研究概要 |
切断された四肢がどのように再生する領域を認識しているのか解明することを目的とした。上腕の皮膚を四角く切り取り、皮膚を切り取った直下の深部組織(筋肉など)をさらに切り取り骨を露出させ、骨の一部を切り取る。そこに肘で切断した神経を遊走させ、切り取った場所の反対側の皮膚を移植すると、上腕の一部とそこから先の構造が形成される(Satoh et al, 2010)。この実験系を用いて上腕の様々な場所に過剰肢を誘導し、形成される過剰肢の上腕の長さに影響があるか検証した。その結果、上腕の位置によって形成される過剰肢の上腕の長さは異なるが、基部側に誘導した過剰肢の上腕は短く、先端側に誘導した過剰肢の上腕は長くなるという、予想と反する結果が得られた。これにより、今後の解析が必要である。 誘導された過剰肢の上腕が四肢のどの部分に当たるのか確認するため、軟骨や関節形成に関連する遺伝子のクローニングを行った。Type-II collagen、Sox9、aggrecan、autotaxin、GDF5、PTTHrP、scleraxisのクローニングに成功し、Type-II collagen、Sox9、aggrecan、GDF5は四肢の再生過程(再生初期から終期の5期間;early bud、middle bud、late bud、pallet stage、digit stage)における発現の変化をin situ hybridaizationによって確認した。
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