研究課題/領域番号 |
12J06802
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深谷 雄志 東京大学, 大学院新領創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | microRNA / Argonaute / eIF4A / GW182 |
研究概要 |
microRNAはゲノムにコードされた22塩基程度の機能性小分子RNAであり、自身の配列に対して相補的な標的遺伝子からのタンパク質合成を阻害することで、遺伝子発現を緻密に制御している。ヒトでは、全遺伝子の半数近くがmicroRNAの制御下にあると考えられており、発生や分化、形態形成といった高次生命現象や、癌などの疾患に深く関与することが明らかになりつつある。一方で、microRNAがどのように遺伝子発現を抑制するのかという根本的な問いは未解明のままである。 当研究室ではこれまでに、microRNAによる遺伝子発現制御を忠実に再現する試験管内再構成系を新たに構築することで、microRNAが「標的mRNAのpoly (A)鎖の分解」と「翻訳抑制」という、二つの独立した経路を介して働いていることを明らかとした(Fukaya and Tomari, EMBO Journal 2011)。平成24年度は、ショ糖密度勾配遠心法を用いたより詳細な生化学的解析により、タンパク質合成装置であるリボソームが標的mRNAに呼び込まれる反応を阻害することで、microRNAが翻訳抑制を引き起こしていることを解き明かした(Fukaya and Toamri Molecular Cell 2012)。しかし、どのようにmicroRNAがリボソームの呼び込みを阻害しているかは未だに明らかとなっていない。 そこで、平成25年度は、リボソームの呼び込みに必須な翻訳開始因子複合体の形成にmicroRNAがどのような影響を与えるのかについて解析を行った。独自に開発した試験管内再構成系と、UVクロスリンクと呼ばれる古典的な生化学的手法を組み合わせることで、標的mRNA上における翻訳開始因子複合体の形成を定量的に検出可能な新たな実験系の構築に成功した。この実験系を用いて解析を行ったところ、microRNA作用時においてeIF4Aと呼ばれる翻訳開始因子が特異的に標的mRNA上から解離する様子が観察された。この結果は、miRNAがeIF4Aを解離させることで、標的mRNA上にリボソームが呼び込まれる反応を阻害していることを示唆している。 microRNAは多様な生命現象や疾患を制御しているが、本研究成果はそれらを理解する上での重要な基盤的知見となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(抄録なし)
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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