研究課題/領域番号 |
12J07360
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能物質化学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
萩原 宏明 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | スピンクロスオーバー / 協同効果 / 分子間相互作用 / 水素結合 / 超分子 / 鉄(II)錯体 / イミダゾール / 構造歪み |
研究概要 |
超分子集積構造の次元性を起源として、協同的スピン転移機構の解明を目指す。外場により二つの電子状態間を相互変換する金属錯体のスビンクロスオーバー(SCO)現象は、分子メモリ、分子スイッチ等の機能材料への応用が期待される双安定現象の一つである。本質的には単独分子に由来するこの現象は、隣接分子間の協同効果に大きく支配される。この協同効果の本質を見極め、転移温度や履歴現象、光応答性等を自在に制御することが、SCO錯体を機能材料へ発展させる上で必須である。本研究では、分子間相互作用に基づく次元構造に着目し、次元構造に連動した磁気挙動の変化を捉え、単独分子から三次元相互作用に至る変遷を統一的SCO分子系で実現することで協同効果の解明に迫る。今年度は、三座配位子2-Methylimidazol-4-y1-methylideneamino-2-ethylpyridineを用いた鉄(II)錯体の過塩素酸塩及びそのエタノール付加物を合成し、イミダゾール-対アニオン間のNH…O水素結合に基づく次元構造の構築を試みた。無溶媒塩は、NH…O水素結合を基にホモキラルー次元鎖を形成し自然分晶したが、SCOを示さない高スピン錯体であった。一方、エタノール付加物は、隣接鉄カチオン間に相互作用の無い孤立分子系であったが、緩やかなSCOを示した。このスピン転移の有無は、鉄カチオン周りの水素結合環境に依存した構造歪みに起因しており、SCO分子の構造を大きく歪ませる強固な集積構造はスピン転移を抑制することが明らかとなった。また、同様の鉄カチオンからヘキサフルオロヒ酸塩を合成したところ、鉄カチオン間が水分子四量体とのNH…O水素結合により集積した二次元錯体が得られた。本錯体は特異な多段階SCOを示し、温度に依存した水四量体の凝集⇔解離が鉄カチオンの構造変化に影響していることが示唆された。これら一連の化合物は、分子間相互作用による次元性集積構造の構築のみならず、SCO分子の構造変化を効果的に伝播する柔軟な結晶格子構造を併せ持つことが、協同性の制御に重要であることを示した。
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